学校保健安全計画

2024年3月24日

カテゴリ:ほけんだより, その他

3学期がようやく終了し、人事異動もあり、せわしく過ごすうちにまた新学期が・・・。
「学期末と新学期の間に1ヶ月くらいの休暇があったらいいのに」なんて、贅沢な願望を抱きたくなりませんか?ミルミルは、しょっちゅう思ってます。

それでもしっかりと新学期は「すぐに」やってきます。

最初にするのは「学校保健安全計画」の作成でしょうか。
地域によっては「作成しなくていい」というところもあるようですが、ミルミル小中学校では、提出を求められます。

そこで、学校保健安全計画の1例として、過去にミルミルが作成した計画を載せてみました。

皆さんが作成する際に、使えるところがあったら、あちこち切り取って使ってくださいね。
タイトルが「健康教育年間計」となっていますが、これは「学校保健安全計画」の保健分野として作成しているためにこうなったものです。
バージョンは、小学校用です。

 

水着をきるわけは・・・

2023年7月9日

カテゴリ:小学校低学年, ほけんだより

今年4月から「命の安全教育」が始まりましたが、みなさんご存じですか?
今学校現場は多忙の極み・・・。「名前すら知りません」という教員も養護教員もきっとたくさん!!いることでしょう。
「指導の手引き」だけで30ページ、他に教材や指導例など膨大な量の紙とネット資料に目を通している時間をどうやってつくればいいのでしょうか・・・と疑問に感じるばかりですが。

そこで、「命の安全教育」の内容と重複する内容のほけんだよりをつくってみました。
小学校低学年向け、かつ、性の学習を実施していないこどもたち向けです。
もちろん、全校できちんとした性の学習の指導計画を作成し、その中でプライベートゾーンについて学んでいる、という学校は無視してください。
それが、一番いいですよね。

今回は、読むだけほけんだより、です。
担任の先生方が、自信を持って指導できるよう、「先生方へ」という資料もつけました。

 

 

 

健康診断結果は誰のもの

2023年6月4日

カテゴリ:ほけんだより, 中学校

このほけんだよりは、養護教員が直接子どもたちに話しかける形でつくりました。
インターネットの普及やビッグデータなどの影響で、私たちが個人情報を誰か、あるいはどこかに教える機会が増えたような気がします。

性の学習では命をつくり育てる器官を「プライベート・ゾーン」あるいはそこに口やおしりを付け加えて「プライベート・パーツ」として教えることがありますが、もともとからだ自体が、その人の「プライバシー」なのです。
「プライベート・ゾーン」を性の学習で取り扱うときに「からだ全体がプライバシー」と一緒に教えてしまうと、子どもたちは混乱してしまうため避けていたのですが、どこかでちゃんと教えなければ、と思っていました。
中学生なら、ちょっと複雑な「個人情報」と「プライバシー」を含めて、理解してくれるのではないでしょうか。
「個人情報」も「プライバシー」も、法律上の定義などがあり、詳しく見ていくと複雑になってしまいますので、ここではあくまで健康診断結果、つまりからだの情報を中心に取り扱いました。
自分のからだの情報だけでなく、友達のからだの情報もどう取り扱えばいいのかも、一緒に考える内容も加えてみました。

 

頭痛あるある!

2023年6月4日

カテゴリ:ほけんだより, 小学校高学年

5月に小学校中学年用のほけんだよりで、腹痛について取り扱いました。
腹痛は、異常があるその部位が直接痛くなることが多いので、原因や対処法が比較的わかりやすいのですが、頭痛はそれより複雑です。
そのため、小学校高学年用にしました。
担任の先生と子どもたちがわいわい言いながら、楽しく学んでもらえるとありがたいです。

偏頭痛や、血流の流れが原因の頭痛(緊張性頭痛と言われるもの)は、小学校低学年から見られる症状ですが、特に思春期になると発症数が増加し、様々な原因で起きるようになると言われています。
思春期独特のからだの変化やストレス、学校生活や家庭での生活の影響など、頭痛の原因は身近に存在します。
特に最近問題になっているのは、長時間のスマホ使用によるいわゆる「スマホ首(スマホッ首)」です。
タブレットを使って学習する時間が増えた分、肩こりを訴える子どもたちも増えているようです。

さらに「気象病」も最近指摘されるようになった頭痛の原因の一つです。
頭痛以外にも倦怠感や吐き気など、特に気圧の変化に伴って症状が出る、という人がみられるそうです。

保健室でよくみられるのは、頭痛を訴える子どもたちの扁桃炎です。
以前、内科検診の時に校医さんに「頭が痛いと言う子どもは、扁桃炎を起こしていることが多いよ」と教えてもらったことがあります。その後喉の様子を観察すると、確かに頭痛と扁桃炎は一緒に起きていることがあるのです。
もちろん、それ以外にも原因はたくさんありますので、必ずとは言えませんが、「なるほど、そうだったのか」と納得した、という経験があります。

いずれにしろ、子どもたちが頭痛を訴えるときは、しっかり話を聞いて対処したいものです。少しでも子どもたちの心やからだの痛みが軽減するように・・・

「おなかがいたい!」のはなぜ?

2023年5月16日

カテゴリ:ほけんだより, 小学校中学年

1990年頃から、ミルミルの周囲の養護教員の間で話題になっていたこと。
「最近、『おなか痛いです』って、泣きながら保健室に来る中学生、増えたよね。」
小学校低学年の子どもたちは、転んだり、気持ちが悪かったりすると、よく泣きながら保健室にやってきていましたが、中学生が泣きながら・・・という現象は、それまではあまり見なかったのです。
それだけ様々な不安を抱えているのだろうか、とか、経験が足りないのかな、とか、当時はいろいろ話し合ったものです。
今、皆さんはどう感じていらっしゃいますか?

からだに異常があるときは、おとなでも不安になりますよね。ましてや子どもなら当然のことでしょう。
その不安をできるだけ小さくして、自分のからだの様子を冷静にみることができるように、かつ、周囲の誰かにちゃんとそのことを伝えることができるように、まずは腹痛についての「からだのおしゃべり」を作りました。子どもによく見られる腹痛の原因とその対処法について、日本医師会のHPを参考に、簡単にまとめてあります。
この「からだのおしゃべり」のねらいは、もちろん腹痛に繋がる原因の、小学校3年生で理解できる範囲の説明です。もう一つは、対処法です。具合の悪いときには、周囲の誰かにちゃんとSOSが出せるようにすることが重要です。そして3つめのねらいは、経験の共有です。学級の仲間の腹痛経験を聞き合うことで、「あ、わたしだけじゃないんだ」「みんな同じように病気になるんだね」という思いを持つことです。
ただし、折角の共有内容が、からかいに繋がらないように配慮をお願いします。

教材は、大腸と小腸の模型ですが、一度作ってしまうと様々な場面で使うことができます。
実際の大腸と小腸はもっと薄くできていて、腸間膜で腹腔内にぶら下がったような状況になっているのですが、それでもこんな長さのものが自分のおなかにあると思うと、ちょっと不思議な感じがしますね。

教材の作り方

教材 ① 小腸の模型

 

写真の小腸は、柔らかい布で作成し、中に綿を入れたものです。

長さは4メートル。子どもの小腸の長さに関するデータがないので(新生児のものしかない)、おとなの一番短い数字を使いました。直径4センチですので、9~9.5センチの横、4メートルの縦の布に縫い代をつけて裁って中表にして袋状に縫い、ひっくり返し(これが大変!)て綿を詰め、最後に返し口を手縫いして完成です。

教材② 大腸の模型

大腸は直径6センチで作りました。長さは1.5メートルです。
布を使って作るときは、小腸と同じ方法で作ります。大腸は小腸より直径が大きいので、中表に縫った後にひっくり返すのは簡単でした。

布で作るのは大変、という方は、ビニールテープを使って、長さだけを実感させるだけでも十分です。幅広のビニールテープは色もたくさんあるし、幅もあるので、腸の様子に近いものが作れると思います。

小腸と大腸の大きさ、直径は、データに幅があるので、最新の数字を確かめてお使いください。

あなたの「お花畑」

2023年4月14日

カテゴリ:ほけんだより, 小学校高学年

近年の研究で、からだの各臓器が必要に応じて連絡を取り合い、相互に関係しながら働いていることがわかりました。そしてその中でも腸と腸内の細菌バランスが、全身の免疫力に大きな影響を与えていることが明らかになっています。
腸内の細菌は「腸内フローラ」と呼ばれ、お花畑に例えられています。他にも人間のからだには皮膚や口の中に細菌のフローラがあり、それぞれがからだを正常に働かせるために動いています。
私たちの健康は、こういった細菌やウイルスの助けを借りてこそ成り立っているのです。

新型コロナ感染症の流行以来、子どもたちの周辺から、全ての細菌やウイルスを取り除いてしまおうという傾向が強くなっていて、これが子どもたちの未来にどのような影響を与えるのか、とても心配になっています。
せめて、細菌やウイルスと人間のからだの関係を、科学的に考える力を持っていて欲しい。そんな願いで今回のほけんだよりを作ってみました。

ちなみに私たちの周囲に、一体どれほどの細菌やウイルスが存在しているのかは、まだはっきりとわかっていません。病気の原因になるものは約50種類程度だと言われていますが、1680年にオランダのレーウェンフックが初めてウイルスを発見しましたが、その後100年間細菌やウイルスの研究は中断。パスツールが登場してようやく再開されています。しかしその研究対象は、ほとんどが病気を引き起こす種類のものが中心で、わたしたちの周囲には、見つかっていないままの未知の世界が広がっているはずなのです。

アメリカの科学者ロブ・ダンの著書「家は生態系」にこんな文章があります。
「病原体が発見されると、頭っからそれは悪者であり、殺すべき相手だと考えるようになった」
「病原体が目に見えない世界に属していることがわかると、屋内にいる目に見えない生物全てに対して、戦いが宣言された。身近にあるほど、徹底的にたたきのめそうとした。~時が経つにつれ、このような傾向にますます拍車がかかっていった。」
「身近な生物は、人間を苦しめるだけでなく、味方にもなってくれる存在であることを認識する、心の余裕を失った」

「心の余裕」持ちたいものです。

 

 

取り過ぎて困るもの

2023年4月14日

カテゴリ:ほけんだより, 中学校

中学校1年生になると「技術・家庭科」で「栄養バランスのよい食事」を学習し、栄養素についても学びますので、栄養素についての基礎知識を得ることができます。
一方、子どもたちの周囲には、様々なサプリメントや栄養補助食品とされるものがあふれていて、実際にそれらを服用しているケースも見られます。
「身長を伸ばしたいからプロテイン飲料を飲んでいる」などという話は、保健室ではあるあるなのです。

もちろん栄養は成長期の子どもたちにとっては、とても大切なものです。
しかし、「栄養が不足する」場合の問題は知っていても、「取り過ぎる」場合の問題については、よくわかっていない子どもも多いのです。
今回は、敢えて「取り過ぎて困るもの」を取り上げてみました。

サプリメントの多くは、科学的に有効性が証明されていないものがほとんど、という指摘もあります。
食事を作るのは、多くの場合保護者などになるのでしょうけれど、中学生なら自分で作ることも、自分で栄養バランスを考えることも大切である、ということもわかっていてほしいですね。

実際の指導の導入は何でも良いのですが、ちょうどいい具合にWBCでの大谷選手の活躍に注目が集っていたのでそれを使いました。でも他に担任のチョイスに任せても構いません。
大谷選手はインタビューで「1日60gのたんぱく質を取るようにしている」と答えていましたが、1日のたんぱく質摂取量のメタ・アナリシスは「体重1kgあたり0.65g」です。大谷選手は体重が97kgですから、97×0.65=63g。なるほど、理想的な摂取量だと言えますね。

今回の内容の参考にしたのは厚生労働省が作成した「日本人の食事摂取量 2020年度版」です。

歯みがき 再点検

2023年2月6日

カテゴリ:ほけんだより, 小学校高学年

学校では、歯や歯ぐきに関する教育が数多く行われています。
特に歯みがきについては、歯ブラシをまだ上手に使い切れない低学年から、十分手先が器用に使えるようになり、同時に歯肉炎等になりやすくなる中学生まで、発達段階に合わせた教育が必要になります。
フッ素など薬物を使った一時的な医療行為と違って、歯みがきに関する指導は、子どもたちの一生にわたって大切な財産となるものです。
もちろん、こういった教育こそが、学校でするべき活動であり、フッ素洗口のような医療行為は学校の役割ではありません。

ミルミルは、現役時代に頻繁に歯みがき指導を行ってきました。
勤務した全ての小学校で給食後の歯みがきを導入し、時間の許す限り教室で子どもたちの前に立って、歯の模型を使って歯みがきの方法を提示しました。また、昼の歯みがき後に仕上げみがきをしながら、家庭での歯みがきの様子を聞いたりしました。

その際痛感したのは、多くの子どもたちが歯の中央部分に歯ブラシを当てて歯をみがいている、ということでした。これでは、汚れが落ちないばかりか、歯ぐきのマッサージもできません。
一生にわたって歯と歯ぐきの健康を守るには、この磨き方では不十分です。

実際に、子どもの歯と歯ぐきの境目に歯ブラシを当ててみがき、
「今先生がみがいているところは、いつもあなたが磨いているところと同じ?」と聞くと
「ううん、違う」
という答えが返ってくることがほとんどです。
できれば、実際に歯ブラシを当てて、いつもの自分の歯みがきとの違いを実感して欲しいところですが、それはなかなか難しい。
せめてほけんだよりで、少しでもわかってもらえれば、と思います。
もちろん可能な学校は、個別指導でやってみてください。

 

教材の作り方

教材①

 

教材② 写真A

 

教材③ 写真B

 

 

 

 

 

 

 

筋肉は傷ついて強くなる

2018年9月20日

カテゴリ:中学校

中学生にとっては身近な経験「筋肉痛」。多くの中学生は、「筋肉を使いすぎたので痛い」と考えているようです。そのしくみを理解してもらうために、これも多くの中学生が経験している切り傷や擦り傷の治り方を参考に考えられるようにしてみました。できるだけ短時間で考えられるよう、筋肉のしくみは、教材で表現しました。さらに最後は、自分の生活を振り返ることができるようにしてあります。

一番最初にこのほけんだよりを作ったときは「筋肉は切れて強くなる」というタイトルをつけていましたが、切れるだけでなく単に傷つく場合もあるので、タイトルを変更しました。
ただし、筋肉が太くなるしくみは、まだ十分解明されていないそうです。今後、研究が進み、新たなしくみが解明されたときは、また新しいほけんだよりを作らなくては・・・。

 

教材の作り方

左から教材①糸(1本)、②数本束になった糸、③発砲の丸い棒・・・これは今まで「小丸太くん」という名称で、小学校図工の教材として販売されていました。今は、残念ながら無いようです。ネット等で「丸棒発砲」等の名称で販売されているものとほぼ同じですので、探してみてください。直径は7~8ミリのものを使っています。

 

       教材④何本かの発砲の丸い棒を紙で包みます。紙は何でも構いません。

 

 

教材⑤ 教材④と同じ太さの紙だけをいくつか作り、それをさらに大きな紙で包みます。

これで1本の筋肉です。

 

    横から見るとこんな感じです。

 

 

 

からだをおおうラップ「ひふ」

2018年9月20日

カテゴリ:小学校中学年

保健室で手当をする擦り傷の中に、皮膚が少しむけただけで、血もでないし、もちろん皮膚の下の筋肉が見えるわけでもないようなものがあります。でも、子どもたちはとても不安そうで、「大丈夫だよ」といっても手当をしないうちは納得しない、という時があります。

それで、こんなほけんだよりを作ってみました。