保健室発 からだの学習 『観』を育む小中の健康教育
ようこそ保健室へ。ポケット小中学校の養護教員ミルミル先生です。あなたのお役に立てるものが入っているかな?
   

情報の信頼性

2021.10.10

ほけんだよりに、小学校低学年「どれがむし歯なの?」小学校中学年「目の中には何がある?」小学校高学年「目玉おやじが生きている理由」中学校「これ、何に使ったの?」
新型コロナ情報「ティーンエイジャーに対するワクチン接種:説明と同意のプロセスが重要」をUPしました。

ようやく新型コロナウイルス感染症が落ち着きを見せています。
病気やワクチンに関して様々な情報が飛び交っています。「ワクチンにマイクロチップ」といった話は別にしても、書店にはコロナに関する本がたくさん並び、言っていることが全く違う、ということもしばしば。どれが正しいのかわからない、という状況です。
子どもたちに間違った情報を伝えるわけにもいかないし、かといって何を基準にしたらいいのかわからない、一体どうしたら・・・?という思いで、改めて情報の信頼性について科学の世界ではどうなっているかを調べてみました。

上の図は、ニューヨーク州立病院が作成した図を写したものです。
科学情報で最も信頼性が高いのは「メタアナリシス(システマティック・レビュー)」と言われるものです。複数の研究論文のデータを統計的手法で解析した結果出されるもので、「フッ素入り歯磨剤を使っていると、フッ素洗口の効果の上乗せはない」とするコクランのものがこれに該当します。
「ランダム化比較実験」というのは、2つ以上のグループにランダムに分けて検証する臨床試験。
「コホート研究」や「ケースコントロール」は、例えばたばこを吸っている人を何年か追跡し、どのくらい肺がんを発症するか調べたり、逆に肺がんの人を何人か調べて、過去にたばこを吸っていた人がどのくらいいるかを調べたりする方法です。前者がコホート研究、後者がケースコントロールです。
意外にも「専門家の意見」は、動物実験の一つ上です。もちろん、専門家の意見の中には、メタアナリシスやランダム化比較実験、コホート研究、ケースコントロールといった研究によって導かれたエビデンスを持って、提唱されているものが多いと思います。対立する意見があった時、信頼性を判断するのに大切なのは、そういった点なのかもしれません。
コロナウイルス感染症は、人間がその存在を認識してからまだ2年程度。詳しい研究もエビデンスも多くはないのです。
今月初めに「インターパーク倉持呼吸器内科クリニック」の倉持仁さんがツイッターで、「次の波が来る前に、早期に治療に介入すれば重症化を防ぎ、死亡率を下げられる、というエビデンスを作らなければなりません」とつぶやいていました。「早く治療すればひどくならない」という症例や1人の医師としての意見はお持ちなのでしょうけれど、それを「根拠」や「証拠」のある、科学的に信頼性のある「エビデンス」にすることが重要だ、ということなのでしょう。
なるほど。データや本を見る目が、今までとはちょっと変わりました。

「悪いのはコロナ」は本当?

2021.09.09

性の学習に3年1時限目と3年2時限目をUPしました。

現代社会が抱える問題の一つ。現実社会でもインターネット上でも、誰かを悪者にして、怒りの矛先をそこに向け、徹底的に叩く・・・という現象。五輪の選手やドラマの出演者、犯罪を犯した人や、時によっては全くの社会的弱者と言われる人までターゲットにして、最悪の場合その命が失われるまで追いつめる、という行為は、教育の場できちんとした指導がなされるべき、まさしく「教育課題」の一つでもあります。
その基本姿勢は、五輪では成し遂げられなかった「多様性と共生」。
つまり、人間自身が、自然を構成する一つの生き物であり、その点ではウイルスや細菌と何も変わらない「共生」しているものであること、そして、多様な生き物が助け合ったり殺し合ったりしながら生きているのだという事実に、きちんと向き合うことが基本ではないでしょうか。新型コロナウイルス感染症と人間の関係も同じです。悪いのは、共生を否定し、コロナに感染した人を「差別する行為」であり、「差別する発想」でしょう。コロナウイルスではありません。

感染者への差別をなくしたい気持ちはわかりますが、だからといってコロナウイルスを悪者に仕立て上げ、非難の矛先をそちらに誘導するのは教育の役割ではありません。
そもそも感染症が流行するのは、だれか(あるいは何か)が、悪いことをしているからなのでしょうか。病気になるのは、そんなに悪いことなのでしょうか。
私たちは一生の間に様々な病気や事故とつき合わざるを得ない生き物です。パラ五輪の選手の中に、生まれた後に障がいを負った人がたくさんいることをみても、それは明らかです。
大切なのは、その中でどう生きていくか、ということだと思います。「悪いのはコロナだからね」と教室で指導すれば、子どもたちは「そうか。コロナをやっつければいいんだ」と非難の矛先をウイルスや細菌、身の回りの「汚い」「弱い」と言われているものに持っていくでしょう。もしかすると、同じ教室にいる「バイキン」とあだ名される友達に向かうことだって考えられます。繰り返しますが、悪いのは「差別する行為」「差別する発想」なのです。これがなくならない限り、「多様性と共生」は実現しないのです。

教育の場にある者は、自分が発するメッセージや内容に敏感であるべきです。
いわゆる「隠れたカリキュラム」がないか、十分に検討するべきです。これは「忙しいからできない」では済まされない・・・私は自分自身の自戒を込めて、そう考えます。

藤田紘一郎さん、ありがとうご…

2021.07.08

ショート指導に小学校高学年向「身長と体重と骨と筋肉」、中学生向「ペストマスクはどうして?」をUPしました。
2学期の身長体重測定の後にいかがでしょうか。

先日、新聞で「寄生虫博士」の藤田紘一郎さんが亡くなったことを知りました。
二十数年前になりますが、まだ小さかった息子を連れて、目黒の「寄生虫館」を訪れたことがあります。展示してある「サナダムシ」の標本に驚き、さらに、これを体内で飼っていた人がいる!!という衝撃の事実を知りました。それが藤田紘一郎さんでした。
以来、藤田さんが書かれた本をたくさん読みました。
学校にいた頃は保健室にも藤田さんの本があり、子どもたちには大人気でしたし、今でも私の本棚には藤田さんの本がたくさん並んでいます。

寄生虫と花粉症の関係とか、うんこの話とか、常在菌のこととか、藤田さんのお話は、とにかく楽しい!
そして、「人間は自然の一部なんだ」ということを、しみじみ感じさせられるのです。
ウイルスも細菌もサナダムシも人間も、同じ地球という家の中で生きている・・・ということですよね。

藤田さんの本で、たくさんのことを教えて頂きました。
心よりご冥福を祈ります。

色づいたミニトマト カラスも狙っているようです。