保健室発 からだの学習 『観』を育む小中の健康教育
ようこそ保健室へ。ポケット小中学校の養護教員ミルミル先生です。あなたのお役に立てるものが入っているかな?
   

マスクをしていれば大丈夫?

2021.05.06

先日、東京渋谷で、20代~30代の若い世代対象のアンケートが実施されました。テレビ等でも報道されたので、ご存じの方も多いと思います。
そのアンケート結果によると、新型コロナウイルス感染症が流行していても「マスクをしていれば大丈夫」という理由で外出する若者が、最も多かったとか・・・。
新型コロナウイルス感染症が日本で流行するようになってから1年。当初の知識が、時間の経過と共に誤解に繋がるような形に変化しているのではないかと不安になりました。
マスクは、基本的に「自分が持っているウイルスを、他人にうつさない」ためには、かなり高い効果を持っていますが、「他人が持っているウイルスをもらわない」ための効果は、決して高くはありません。1年前はそのことが伝えられていたのに、いつの間にか「マスクさえすれば」という偏った思い込みに変化してしまったことになります。
「コロナ対策を万全にして・・・」というよく聞く言葉も、「コロナにかからない」ことを保証しているかに聞こえますが、本当にそうなのでしょうか。疑問は膨らむばかりです。
世田谷区の調査によれば、無症状感染者の3人に1人はスーパースプレッダーだとか。次々と新しくなる情報はもちろんのこと、一度伝えたことも繰り返し確認しながら、正確な知識を子どもたちに伝えていきたいものです。

「読むだけ健康診断事前指導」(中学校バージョン)を、内科、眼科、歯科、耳鼻科、尿検査それぞれで更新しました。

                    庭いっぱいに広がって咲くスミレ

 

新学期 開始。

2021.04.06

4月。入学式や卒業式が軒並み中止になった昨年とは違い、制限はあるものの、晴れやかな子どもたちの笑顔が見られる今年。先生方は大変でしょうけれど、以前の姿が戻ってきつつあることに、ちょっとほっとする春です。

最近、マスコミで報道されるニュースには、ビックリさせられるものが次々と・・・。
「教師のバトン」に「こども庁」、「教員免許更新講習廃止」・・・etc
「えっ?」「え~!!」「何それ?」そして「だから前からそう言ってるじゃない!」
笑うしかないかな、とあきらめつつ、「大金かけて、時間もかけてとった免許はなんだったんだ」とか「現場の大変さ、繰り返し繰り返しずうっと訴えてきたでしょ!」とか、「庁を増やすより先に、マスクも買えない貧困家庭の子どもを今すぐなんとかして欲しい!」とか、思うことはたっくさん!!あります。どうやったら、こどもや親、教員の声が、政治に届くんでしょうね。

さて、そんな思いとは関係なく、健康診断が始まりますね。
健康診断もいろいろな問題点を繰り返し訴えてきたものの、改善される様子はありませんが・・・。
「コロナ禍で、事前指導も時間がとれない」という声に答えられるよう、「読むだけ」の事前指導小学校バージョンを載せてみました。担任の先生に読んでもらいます。
出典は「保健室発『からだの学習』」(東山書房)です。
自分が受けている検診はどんなものなのか、その検診で何がわかるのかを子どもたちに理解してもらった上で受けてもらいましょう。
なんと言っても検診の主役は、子どもたちですからね。

春の月山 雪山スキーのシーズンが始まりました。

 

3,11・・・あの日

2021.03.11

その瞬間、私は保健室で保健委員会活動の真っ最中でした。
最初の揺れから、あっという間に強烈な揺れになり、保健委員の子どもたちに
「机の下に入って!!」と叫んで、私は保健室入り口のドアを開けると、子どもたちが潜り込んだ保健室中央にある大きな机の下に駆け込みました。
すさまじい揺れでした。
正座した状態で机の下にいたのですが、そのまま左右にからだが滑って移動するのです。
保健委員の中にはパニックを起こしそうな子もいたので、その子の腰に手を回し、飛び出さないように抑えるのが精一杯でした。
校舎のきしむ音、ガラスのビリビリ音、なんとも言えない「ゴォー!」という地鳴り。
学校という集団の場にいたからこそ、何とか対応できましたが、もし自宅にいたら、パニックに陥っていたかもしれません。

あの日、被災地の養護教員達は、信じられないような体験をしました。
体育館に避難したところを津波にのみ込まれ、2階のギャラリーまで押し流された人。
地震のショックで産気づいた妊婦さんの出産を手伝った人。
避難した屋上で津波のために孤立し、「ここにいる人間の中ではあなたが一番知識があるから」と言われ、救出者のトリアージを求められ、他人の命を背負った人。
子どもたちと一緒に校舎に取り残され、寒い夜をなんとか乗り切ろうと必死に走り回って物資をかき集め、泣きじゃくる子どもたちを抱きしめて一夜を過ごした人。
そして、原発事故のために、津波や地震に加えて更なる苦難を背負った福島の養護教員達。

東日本大震災後、私には忘れられない体験があります。
それは免許更新のために、埼玉県にあるA大学で講習を受けたときのことです。
講師の方が、東日本大震災に関して、こう話されたのです。
「皆さん、保健室のように重要なところは、きちんと鍵をかけておきましょう。災害が起これば、地域の人が学校に避難してきて、保健室から救急用具を自由に持ち出すでしょう。不安に駆られて、不要なものまで持ち出すこともあります。子どもたちが帰ってきたときに、子どもたちにあげる救急絆創膏は、とっておく必要があります。地域の人は土足で入ってきますからね。久しぶりに学校に行ったら、保健室のベッドに妊婦さんが寝ていた、なんてなったら大変でしょう?」
腹が立ちました、すごく! 怒りのあまり、その後の話は頭に入りませんでした。
保健室に妊婦さんが寝ていて、何が悪いんでしょうか。私なら率先して寝てもらいます。
冷たい体育館の床に寝るより、どんなにいいか・・・。
保健室の救急用具も「どうぞ使ってください」です。救急絆創膏を1枚多く持っていくことで安心できるなら安いものです。あの時、地震や津波、原発事故に襲われた地域の人たちが、どんな状態で、どんな気持ちでいたか、それを考えたら、保健室は救いの場だったはずです。鍵など必要ありません。
実際、保健室が震災直後の診療所の役割を果たした学校はたくさんあります。
それは「保健室に鍵をかけておいて、救急用具を地域の
人に提供しなかった」から、できたわけではないのです。
被災後、体育館のステージの隅に作った臨時保健室で、養護教員と一緒にいる子どもの穏やかな表情を見たことがあります。そうです、保健室は、保健室という入れ物や救急用具で成り立っているわけではないのです。

あれから10年。
前を向いて大きく復興をとげた所もあります。でも、何も変わらない所もあります。
2016年、福島県相馬市にフッ素洗口の講演に行くため、帰還困難区域をバスで通り過ぎたことがあります。今にも家から人が出てきそうな、あの日そのままの光景を見て、涙が止まりませんでした。

「この10年、日本は何をしてきたのだろう」というやり切れない思いは、今も残ったままです。

ようやく春・・・。あの日は雪まじりの寒い日でした。