あなたの「お花畑」

2023年4月14日

近年の研究で、からだの各臓器が必要に応じて連絡を取り合い、相互に関係しながら働いていることがわかりました。そしてその中でも腸と腸内の細菌バランスが、全身の免疫力に大きな影響を与えていることが明らかになっています。
腸内の細菌は「腸内フローラ」と呼ばれ、お花畑に例えられています。他にも人間のからだには皮膚や口の中に細菌のフローラがあり、それぞれがからだを正常に働かせるために動いています。
私たちの健康は、こういった細菌やウイルスの助けを借りてこそ成り立っているのです。

新型コロナ感染症の流行以来、子どもたちの周辺から、全ての細菌やウイルスを取り除いてしまおうという傾向が強くなっていて、これが子どもたちの未来にどのような影響を与えるのか、とても心配になっています。
せめて、細菌やウイルスと人間のからだの関係を、科学的に考える力を持っていて欲しい。そんな願いで今回のほけんだよりを作ってみました。

ちなみに私たちの周囲に、一体どれほどの細菌やウイルスが存在しているのかは、まだはっきりとわかっていません。病気の原因になるものは約50種類程度だと言われていますが、1680年にオランダのレーウェンフックが初めてウイルスを発見しましたが、その後100年間細菌やウイルスの研究は中断。パスツールが登場してようやく再開されています。しかしその研究対象は、ほとんどが病気を引き起こす種類のものが中心で、わたしたちの周囲には、見つかっていないままの未知の世界が広がっているはずなのです。

アメリカの科学者ロブ・ダンの著書「家は生態系」にこんな文章があります。
「病原体が発見されると、頭っからそれは悪者であり、殺すべき相手だと考えるようになった」
「病原体が目に見えない世界に属していることがわかると、屋内にいる目に見えない生物全てに対して、戦いが宣言された。身近にあるほど、徹底的にたたきのめそうとした。~時が経つにつれ、このような傾向にますます拍車がかかっていった。」
「身近な生物は、人間を苦しめるだけでなく、味方にもなってくれる存在であることを認識する、心の余裕を失った」

「心の余裕」持ちたいものです。