正しく理解 ステファン曲線

2019年8月14日
カテゴリ:その他

養護教員なら一度は目にしたことがあるステファン曲線。ご存じですよね。

みなさんは、このグラフ、どのような実験の結果だと思われますか?
多くの場合、このグラフについているタイトルは

「食後の口の中のPHの変化」とか、
「飲食後の歯のPHの変化」です。
つまり、「食事をすると、このグラフのように口の中のPHが酸性になり、むし歯ができやすくなる。その後少しずつ再石灰化が進んで、少し溶けた歯の表面が元にもどっていく」
多くの方は、そんなふうに思っているのではないでしょうか。
さらに最近は、「食後のハミガキは、臨界PHを越える20~30分後が望ましい」
といったことも言われるようになりました。
場合によっては、このステファン曲線を1日の食事やおやつ全てにあてはめ、何度もPHが上がったり下がったりするグラフを作っている場合もあります。

しかし、このグラフは、
「10%ブドウ糖液を口の中に含んだ後、歯垢内でのPHの変化」
を示したものです。
つまり、普段の朝、昼、夜の食事の後を調べたものではないのです
10%ブドウ糖液といえば、350ccのジュースに、35gの砂糖が入っているものと同じになり、かなり甘い飲み物であることがわかります。しかも、固形ではなく液体なので、小さなすき間にも入り込みやすくなります。
さらに、このPHは「口の中」というより、「口の中にある歯垢の中」の数字です。解説によっては、「4日間歯磨きをしなかった場合の歯垢の中のPH」としている場合もあります。4日間磨かなかったら、かなりたくさんの歯垢がついていることが想像できます。
それでもやはりこのグラフは「歯垢の中」のPHであり、口全体が、このようなPHになるとは限らないのです。

ちなみに、普段の食事で、歯垢の中ではなく口全体のPHが、どのようになるのかを調べた実験はありません。

みなさんは、「10%ブドウ糖液を含んだ後」を、「食後」と言いますか?
「歯垢内のPH」を「口の中のPH」と表現すれば、子どもたちが誤解しやすくなることはおわかりですよね。

科学的に正確な情報を子どもたちに伝えるため、まず私たちが正しい知識を持ち、そのしくみについて理解を深めませんか。
むし歯になるのは、ミュータンス菌が悪いから・・・でいいのでしょうか。
ミュータンス菌をはじめとした細菌を、凶悪な表情で描き、槍なんか持たせていないでしょうか。

健康なときも、病気の時も、若いときも、老いたときも、私たちのからだは見事な仕組みで反応し、命を守り、或いは壊れながらも生きているのだということを子どもたちに伝えていきたい、と私は考えています。