フッ素の致死量
2025年6月15日
カテゴリ:その他
フッ素の致死量は、とある悲しい事件を元に引き出されました。
出典は「薬の副作用年鑑」 D.M.N.G.Dukes著 です。
生後27ヶ月(2歳3ヶ月)の男児が、母親が使用していた1錠中0.5mgのフッ素の錠剤を飲みこみ、病院に連れて行かれました。胃洗浄で4錠のみ取り出すことができましたが、飲みこんだ錠剤の量は限定されていませんが、100錠入りのほとんどが残っている薬瓶から、最大96錠を飲んだ可能性がありました。
4錠を取り出した後、病院からは「もう危険はない」と言われ、意識不明のまま男児は帰宅させられました。その後、3時間半で呼吸困難が始まり、至急入院しましたが、5日後に死亡しました。
この男児は、なくなる前の15か月間、同じフッ素の錠剤を毎日1錠飲んでいたそうですから、体内にフッ素が蓄積されていて、それがこの事故にどのように関連したかは明確になっていません。
しかし、3才の子どもの心理を考えると、普段飲んでいるからこそ、安易に多量服用してしまった可能性は否定できません。
これらの事例から、出典の「薬の副作用年鑑」では、最小致死量は体重1kgにつき4mgとされています。(亡くなった子どもの体重を15kgと想定した場合)
では、エフコートを全量飲んだ場合、どのくらいのフッ素を摂取することになるのでしょうか。
エフコートはフッ素濃度が225pmの上、1本が250mしかありません。従って、万が一全部を飲んでしまったとしても、致死量に達する可能性は大きくありません。
しかし、学校や保育施設で使用している毎日法は、濃度が450ppmとエフコートの2倍であり、そのほとんどが500ml容器入りですので、万が一全量を飲んでしまえば、体重15kgの子どもであれば、3~4人がなくなってしまう可能性があります。
体重30kgの小学校低学年であれば、2人分です。
さらに週1回法の900ppm500mlであれば、体重15kgの幼児なら7人分、体重30kgの小学校低学年なら、3~4人分の最小致死量に当たります。
つまり、500mlの3分の1か4分の1を飲んでしまうと、小学校低学年児童1人分の最小致死量になってしまうのです。
学校や保育施設でフッ素洗口が行われている場合、その保管はほとんどが「鍵のかかる場所」で行われています。しかも養護教員や管理職などが、その管理に当たっている場合が多いでしょう。
しかし、もし週1回法や毎日法の500ml洗口液が家庭などに置かれていたら、最初に紹介した悲しい事故のように、普段使用している洗口液であればこそ、用心することなく、あるいは間違って子どもが飲んでしまう可能性を「ゼロ」にしてしまうことは不可能なことに思えます。
因みにエフコートには、「フルーツ味」がついていました。
誰かが犠牲にならない限り、フッ素を使った無謀な行為は、なくならないのでしょうか。
最悪誰かが犠牲になっても、「家庭の管理が悪い」で、片付けてしまうつもりなのでしょうか。
そもそも「致死量」があり、それを超える量を含んだ薬剤を、学校や家庭に置くこと自体が間違いです。
そして、犠牲者を出すわけにはいかないのです。
小学校中学年 一生の間にすること
2025年6月12日
カテゴリ:その他
このショート指導の出典は、アシェットコレクションジャパンが出版した「アーサーが教える体のふしぎ」です。簡単に言うと、人体模型を発売した「アーサー君」の付録のからだのしくみを子ども向けに説明する本、です。アーサー君は、このHPにも何度か出てきているので、すでにご存じですよね。
その本のNo.7,ページ数ではP66~67にある内容を使いました。
「からだの学習」では、クイズを使うのは、子どもたちが答えを予想できるような知識や経験を持っていて、論理的に答えを導き出せるような内容に限定しています。
根拠なく答えを予想してしまうと、「当たった!」「間違った!」という結果だけに注目してしまい、なぜそうななのかをあまり気にしなくなるからです。
今回は、この原則を無視した内容です。
ねらいは、論理的に考えることではなく、「へえ~そうなんだ。〇〇だなあ」と自由に「感じてもらう」こと。
問題は6問あります。
6問の答えを知った後に、子どもたちにできるだけたくさん感想を聞いてみてください。
「うんこがすごい量でびっくりした」
「寝てる時間が長すぎて、もったいない」
「たくさん食べているのに、その食べものはどこにいったんだろう」
など、からだや生活に対して「感じたこと」を持ってもらえれば、大成功!!
もちろん、その感想に対して補足説明が必要な場合は、適宜補足してください。
時間との相談で、1問ずつ感想を聞いてもいいと思います。
T:今日は、みなさんに75歳の自分になってもらおうかな。
S:え~っ、まだ9(10)歳だよ。
T:でもあと66(65)年経ったら、75歳になるよね。その時のみんなが、75年間でどんなことをしてきたのかを、今日はクイズにしてみました。では、早速第1問。生まれてから75歳まで、みんなが歩く距離は、おおよそどのくらいでしょうか。ア、日本列島の1往復分 イ、日本列島の2.5往復分 ウ、日本列島の3.5往復分 さてどれでしょうか。(ア、イ、ウのそれぞれに手を上げて確認)
では、正解は(〇を貼る)ウでした。おおよその距離だからね。
T:では、第2問(・・・・という方法で第6問まで続ける。教材も②~⑥まで順に提示)
第1問 生まれてから75歳までに歩く距離はおおよそどのくらい?
ア、日本列島の1往復分 イ、日本列島の2.5往復分 ウ、日本列島の3.5往復分
第2問 生まれてから75歳までに、どのくらい眠るでしょうか?(教材②)
ア、12年間 イ、22年間 ウ、32年間
第3問 (生まれてから75歳までに)食事やおやつで食べる量はどのくらい?(教材③)
ア、ザトウクジラ1頭分 イ、ティラノサウルス1匹分 ウ、象1頭分
(ザトウクジラ1頭 27トン ティラノサウルス1匹 8トン 象1頭 6トン)
第4問 (生まれてから75歳までに)流す汗の量はどのくらい?(教材④)
ア、 コンクリートミキサー車 イ、大型トラック ウ、タンクローリー
(コンクリートミキサー車 9KL 大型トラック 0.4KL タンクローリー 20KL)
第4問と第5問は、それぞれの車に積載される量で考えてください。コンクリートミキサー車ならコンクリートを積む部分、大型トラックは荷台、タンクローリーはタンク部分に積める量、ということです
第5問 (生まれてから75歳までに)うんこはどのくらいの量になるかな?(教材⑤)
ア、 コンクリートミキサー車 イ、大型トラック ウ、タンクローリー
第6問 おしっこはどのくらいの量になるかな?(教材⑥)
ア、お風呂10杯分 イ、お風呂100杯分 ウ、お風呂500杯分
T:どうでしたか?75歳までいろいろなことをしていましたが、どんなふうに感じましたか?
(時間の許す限り子どもたちの感想を聞いてみましょう。その感想が共有されることも意味があります。)
答えは 第1問はウ 第2問はイ 第3問はア 第4問はウ 第5問はア 第6問はウ です。
教材①
教材②
教材③
教材④
教材⑤
教材⑥
歯をまもる3つのアイテム
2025年5月9日
カテゴリ:その他
むし歯発生の3要素・・・3つの円があり、それぞれの円が「歯みがき」「糖分」「歯の質」となっていて、3つの円の一部が重なるところに「むし歯」がある、という図は、以前はよく目にしていました。最近は見なくなったなあ、と思っていたところ、今はこの3つに「時間」が加わり、4つになっているようですが、時間がどのくらい影響を持っているかは、まだ十分確定事項、とは言えないという話も聞きます。
この4要素を図にしたものは、ネット上にたくさんありましたが、いずれもミュータンス菌を凶悪な絵面で書いてあるので、ここに載せるのをやめました。イメージ操作しないでほしいな。
保健の教科書、小中いずれにもこの3要素は載っていません。でも、確かに3要素が「重なったところ」にむし歯発生の現象はあるわけですから、子どもたちには覚えておいて欲しい知識です。
歯と口腔の健康教育は、小学校低学年から年齢に合わせて、学校でよく行われる内容です。
1年生を含む低学年の子どもたち向けに、この3要素を「歯をまもるアイテム」に例えて作ってみました。
ゲーム感覚でどうぞ!
教材①
教材②
おなかが痛い!うんこか?
2025年5月9日
カテゴリ:その他
内科的な訴えでとても多いのが、「排便しないことによる腹痛」です。ミルミル小中学校でも、腹痛を訴える小中学生の多くが、排便が原因になっているようです。
もちろん、他の原因による腹痛もありますが、1日以上排便がない子どもたちは、ふんばるだけで腹痛が治まることがあります。
これは、ふんばることでおなかの筋肉が刺激され、それに伴って腸の働きが活発になり、一時的に便が押し出されて移動するために腹痛が改善されるため、なのだそうです。
便がうまく出てくれればすっかり痛みはなくなるのでしょうけれど、例え出なくてもおおよその場合は痛みが改善するようです。
また、仰向けにベッドに寝た状態で、おなかの左下を触ると、堅くなった便に触れる場合もあります。こんな場合は、明らかに便が原因です。
とは言え、十分な問診は必要です。
それが終了し、「この腹痛の原因はうんこか?」と思ったので、こんな展開にしてみました。
因みに、うんこの動きを、わかりやすいようにマヨネーズに例えていますが、「マヨネーズ食べられなくなる」心配もなくはない((@@;)ので、みなさん何か適当なものを当てはめてみてください。
T:なるほど、原因はうんこが溜まっていることかもしれないね。じゃあ、まずトイレに行って、うんこが出ても出なくてもいいから、5分間ふんばってみようよ。
S:ええっ、おなか痛いから無理です。
T:そうだよね、痛いときは力はいりにくいものね。わかるけれど、その痛みがふんばって軽くなるんなら、やってみようよ。うまくいくとうんこが出るし、痛みも軽くなるかもよ。
S:そうなんですか。(しぶしぶ)トイレに行ってみます。
T:おうちでいつもうんこするときのような踏ん張りでいいからね。1回か2回で諦めないで、休みながらでいいから5分頑張ろう。
S:はーい。
(場合によってはトイレに一緒に行き、トイレの近くで待っていることもあります。)
S:(トイレに行って数分後)先生、うんこでなかった。
T:そうか。で、おなかの痛みはどう?
S:なんか、痛くなくなった。
T:よかった、よかった。これでホッとしたね。
S:うん。よかった。ふんばるだけで痛くなくなるんだ。
T:どうしてか、わかる?
S:わかりません。
T:Sさん、ふんばったとき、おなかに力はいったでしょ?
S:うん、痛かったからちょっと辛かった。
T:そうだね、でもよく頑張ったよ。力の入ったそのおなかの下に、うんこが入った大腸があるんだよ。ほら、こんなの(大腸の模型は、小学校中学年用からだのおしゃべり「おなかが痛いのはなぜ」で紹介)この中にうんこが溜まっていると、おなかが痛くなるときがあるんだよ。
S:そんなに長いんですか。
T:Sさんが保健室に来たときは、うんこはここ(大腸のどこでもいいが、便はほとんど下行結腸部分にある)のあたりにあったの。それがふんばると(大腸の模型の中の綿絞るように絞るようにする)、こんなふうに前に押し出される。あのね、マヨネーズの入れ物あるよね。あれをぎゅーっと絞って、マヨネーズを押し出すみたいなことになるんだよ。ふんばると筋肉がぎゅうって動くから、うんこを押し出してくれるんです。
S:ふんばるだけで動くんだ。そうか、だからうんこするときもふんばって、前にうんこを進めるんだ。
T:そう。それで別の場所に移動したので、痛みがなくなった。でもそこにも何時間も何日もうんこしないでためておくと、また痛くなることもあるから、早めに出した方がいいからね。今日はうんこしてないんでしょ?
S:はい。でも、今日家に帰ったらトイレに行きます。またおなか痛くなるの嫌だから。
中学校 科学的な根拠は?
2025年4月10日
カテゴリ:その他
子どもたちと学習する前に皆さんに質問です。
次の1~8のうち、「信頼できる」と考えられるものはどれでしょうか。
1,同じ条件で実施した20回の実験のうちの1回の結果
2,同じ条件で実施した20回の実験のうち同じ結果の19回の結果
3,違う条件で実施した20回の実験のうち20回の結果
4,20人を対象にした実験の結果
5,1万人を対象にした実験の結果
6,知り合いの〇〇さんが言っていた内容
7,ある1人のお医者さんが話した内容
8,有名な科学雑誌に載っていた内容
9,研究機関などがたくさんの実験結果を集めて査読し、様々な検討をした結果として発表した内容
もちろん、皆さんはおわかりですよね。最も信頼できるのは9,いわゆるシステマティック・レビューと言われるものです。その次は8でしょうか。ただ、学会で発表されたものと、査読されて著名な科学雑誌に載ったものとは、また信頼性に違いがあるようです。
1や2は、テレビCMなどでよく見かける実験方法ですが、科学的(医学的)な実験は、その再現性が信頼性を大きく左右します。20回実験して、19回は効果がなかったが、1回だけ効果があるような結果になったので、その1回の実験を使って「効果がありますよ」という宣伝がなされた、という事例もあるそうなのです。
本当に効果があるのなら20回の実験中多くの回数で「効果あり」の結果が出なければいけないわけで、これが「再現性」です。
さて、では子どもたちが考えやすいように1~9を3つのグループにわけて、100メートルのタイムを取る、という具体的な場面に置き換えながら検討してみましょう。
イラストや文字カードなどを準備して、わかりやすいよう工夫してみてください。
T:今日は皆さんの好きなクイズです。
S:(やったぁ、ヨシ!などの声)
T:では、最初の問題です。体育祭の組を決めるために、Aさんの100メートルのタイムを取ることにしました。正確なタイムをとるために、Aさんに5回、それぞれ別の日に100メートルを走ってもらいました。次の3つの方法のうちで、Aさんのタイムとして正確なものはどれでしょう。
1,グラウンドで走った5回のうち、スタートダッシュを失敗してしまった1回のタイム
2,グラウンドで走った5回のうち、失敗しなかった残り4回のタイムの平均
3,グラウンドで2回走り、上り坂で3回走ったタイムの平均
さて、どのタイムがAさんの100メートルのタイム?
S:2番!!
T:ちょっと簡単すぎたか。そうですね。1のように失敗した1回のタイムではなく、失敗しないで走った4回の平均なら大丈夫だよね。しかも2は4回も走っているので、1回しか走っていない1は、あてになりません。3も5回走っているけれど、どうしてダメですか?
S:グラウンドと坂道ではタイムが違ってくる。
T:なるほど。平らなグラウンドと坂道では、条件が違います。同じ条件でなければ、Aさんの100メートルのタイムは正確に出てきません。
では、次の問題です。中学2年生の100メートルの平均タイムを取りたいと考えました。20人の中学2年生に走ってもらい、その平均を出すのと、1万人の中学2年生に走ってもらって平均を出すのとでは、どちらが正確でしょう。
S:もちろん、1万人です。
T:これも簡単でしたね。ある答え、つまり中学2年生の100メートルの平均タイムを取るには、できるだけたくさんの人に走ってもらった方が、正確な答えが出ますよね。では、最後の問題です。Aさんは体育祭でできるだけ早く走りたいと考えました。そこで、速く走る方法を知りたいと思ったのですが、次の4つのうち、一番信用できるのはどれでしょうか。
ア:友達のBさんが言っていた方法
イ:SNSでどこかのおじさんが言っていた方法
ウ:陸上競技の専門書に載っていた方法
エ:速く走る方法を研究している専門家が集まって、速く走る方法についての研究を世界中から集め、その内容を検討した上で出した結論
さて、一番信用できるのはどれでしょう。(この後は挙手でそれぞれの意見を確認したり、その理由を発表してもらったりしましょう)
T:どうしてこんなクイズをしたのかというと、からだや健康に関するたくさんの情報のうち、本当に信用できる情報を見抜く力を皆さんに持ってもらいたかったからなのです。テレビや雑誌、SNSなどにもからだや健康に関する情報はたくさんありますよね。そういった情報を受け取るときに、信用できるものと、簡単に信用しないで他の情報で確かめた方がいいものとを区別できるようになってください。
では、クイズからわかったことを最初からまとめてみましょうね。
最初の問題でわかったのは、1回だけの結果ではなく、何度も繰り返して同じような結果が出た方が信用できると言うことですね。しかも、条件を同じにして。条件が違えば、もちろん結果は違ってしまいます。二つ目の問題でわかったのは、できるだけたくさんの人の実験の方が、正確な答えが出る、ということ。でもこれも条件が違っていたら、正確とは言えなくなるので、同じような条件であることが大切です。そして最後の問題ですが、特にからだや健康の分野では、エの方法で出された結論が最も信用できる答えと言われています。でも、この方法で出された結論は、そう多くはありません。なので、ア~ウのような情報の場合は、それが本当に信用できるかどうか、しっかり調べる必要があります。聞いたことをすぐに鵜呑みにしない、ということが一番大切なのです。SNSやYouTubeなども同じです。今日話したことは、信用できるものとそうでないものを区別するための基本です。他にも方法はありますので、皆さんも考えてみてくださいね。
こんな掲示物、どうでしょう
2025年4月10日
カテゴリ:その他
毎年、4月から5月、6月にかけて保健室前に健康診断の予定を張り出していましたが、毎年のことでなんだかマンネリ化していました。
そこで、なにか面白い工夫はないかと考え、子どもたちが操作できる掲示物を考えてみました。
健康診断のイラストが上段、中段はその名称、下段は検診でしらべることをそれぞれカードにして貼ってあります。
そしてそれぞれを「線」で結べるように使っているのは「輪ゴム」です。
輪ゴムは本当にごくごく普通の輪ゴムです。
それを何本か繋いで適当な長さにしてあります。
写真では輪ゴムの線で、上段、中段、下段が結ばれていますが、毎朝輪ゴムは上段と中段のピンの下にたらしておくと、休み時間等に子どもたちがやってきて、ワイワイ言いながら同じ検診を輪ゴムの線で結んでいきます。
時々「ミルミル先生、正解はどれですか?教えてください」
と保健室にやってくる子もいます。
なお、上段は朝顔の花、中段は朝顔の葉、下段は植木鉢にしてみました。
検診のイラストは東山書房の「健康教育イラスト・カット」より使用しました。
ガッカリ!朝日新聞とテレビ朝日
2025年3月11日
カテゴリ:その他
コロナ感染症の流行が始まってしばらくしてから、「うがいについて」という記事をUPしました。
うがいの歴史やその効果、感染症を広げる可能性などについて説明しています。
(カテゴリー「新型コロナウイルス感染症」の「うがいについて」)
同時に様々な機関や施設に、「うがいの感染症予防効果はないですよ」とお伝えしました。
それは、私たち養護教員が「インフルエンザやかぜの予防には、うがい手洗い」と言い続けたことの罪滅ぼし・・・という思いもあったからです。
その後、昨年末インフルエンザの大流行がありましたが、その予防方法として「うがい」が積極的にテレビや新聞で取り上げられることはほとんどありませんでした。
もちろん、国の情報のどこを見てもインフルエンザの予防法に「うがい」の文字はありません。
しかし、そのような状況でも、唯一テレビ朝日の「羽鳥慎一モーニングショー」では、天気予報士の片岡さんが「うがい手洗い忘れずに」と何度も繰り返し、かつテロップが入るときもありました。
「羽鳥慎一モーニングショー」は、LINEで意見や質問を投稿することができるので、何度も情報を寄せたのですが、それでも「うがい手洗い」は繰り返されました。
さらに、今年2月22日の朝日新聞の土曜版には、子ども向けに「うがいは風邪予防になる?」という記事が載っていて、一見まるで予防効果があるかのような誤解を招く内容になっていました。
朝日新聞にうがいの効果について指摘をするのは、これで2回目です。
なんでこんなにうがいにこだわるのだろうか、と裏側を勘ぐりたくなってしまいます。
この記事には、厚生労働省の情報は全くなく、間違いや勘違いを誘導するかのような突っ込みどころ満載の表現がたくさんありました。
基本的な大間違いは、多くの論文を集約して出されたシステマティック・レビューに近いであろう厚生労働省の見解より、単なる一論文の結論を優先して載せていることです。
科学的にどちらが「質の高い」理論であるかは、言うまでもありません。
つまり、朝日新聞とテレビ朝日は、「科学的に正確な情報を視聴者と購読者に伝える姿勢」を持っているとはいえないのではないでしょうか。
こんな情報に振り回されることなく、子どもたちには科学的に正しい情報を伝えましょう。
メディアリテラシーは、最近の選挙等の状況も含めて、子どもたちにとってはとても重要な「生きる力」だと言えるでしょう。
うがいについての詳細はこのカテゴリーの「うがいについて」を参考にしてください。
ちなみにミルミルは物心ついたときから朝日新聞をずうっと読み続けてきましたが、これを機会に別の新聞を購読してみることにしました。
14年目の3,11と石川、大船渡
2025年3月11日
カテゴリ:その他
早かったような、長かったような14年。また3,11がやってきました。
何年経ってもあの日の記憶とあの時の気持ちは、忘れないものですね。
14年経って、3,11の被災地は元に戻ったわけではありません。
さらに今回、大規模な森林火災に見舞われたのも、被災地である大船渡市でした。
14年経った東北も、そして能登も、さらに大船渡も、多くのものを失い、戻ってきたものもあり、戻らないものもあります。
能登はまだまだ倒壊した家屋が片付けられていないところがたくさんあります。
地震だけでなく、その後に起きた水害の影響も残っているでしょう。
実はミルミルの居住地近くでも、能登と同時期に水害の影響を受けた地域があります。
その地域も、集団移転の話はあるものの、まだまだ先の見えない状況で、子どもも大人も不安を抱えたままの生活を続けています。
そして、2月に起きた大船渡の森林火災は、そもそも3,11から復興しかけていた大船渡に、二重の苦しみを与える結果になってしまいました。
でも、やはり私たちは何があっても子どもたちを支えていかなければなりません。
家業が継続できなくなったり、経済的に苦しくなっている家庭がきっとたくさんあると思います。
保護者が不安になっていれば、子どもたちはその影響を受けていきます。
すでに皆さんちゃんと心がけていらっしゃるでしょうけれど、こんな時は子どもたちの話を聞きましょう。
ちょっとした愚痴でも、不満でもいいです。
頷いて、「うん、そうなんだ。」と受け止めて、「そうか、そうか。そんな気持ちなんだね。」と共感しましょう。
一緒に遊んで、一緒に喜んで、一緒に悲しんで・・・そんな大人がそばにいてくれるだけで、きっと子どもたちは心強いのです。
学校現場は、今とても過酷です。
さらに石川県の一部地域では、学校でのフッ素洗口も始まってしまいました。
それでも、可能な限り子どもたちを支えていければ、と遠いところから願うしかないのですが、心からのエールを送ります。
頑張ろう、みんな。
お勧め本 小学校低学年用
2025年2月19日
カテゴリ:その他
性の学習に充てることのできる授業は多くない、という学校がたくさんあると思います。
そんな時に役立つのが、保健室常備の絵本です。
今回は、小学校低学年用の絵本を紹介します。もちろん、授業で使用してもOKです。
「だいじ だいじ どーこだ?」
えんみ さきこ著 大泉出版
からだは基本的に個人のプライバシーです。
その基本を教えてくれる本。
名称はもちろんのこと、いわゆるバウンダリーも含めたからだの捉え方がわかります。
もちろん、プライベート・パーツ(ゾーン)も説明有りです。
絵本 からだうた
日暮 かをる文 エイデル出版
この本の題名を、以前聞いたことがある、
という方もたくさんいらっしゃると思い
ます。
そう、2003年に起きた「性教育バッシン
グ」の標的になってしまった七生養護
学校で使われていたあの歌です。
こうやって改めて文字にして読んでみると
その当時の七生養護学校の教員と保護者
の暖かな眼差しがしみじみと感じられます。
そして、こんなふうに出版されることに
対するなんとも言えない感慨を覚えるのは
ミルミルだけでしょうか。
養護学校ならではの視点で、車椅子の子
どもなども登場します。
ぜひ保健室に置きたい1冊です。
こころって なんだろう? ほそかわ てんてん 著 KADOKAWA
本当はこの本の表紙を載せたかったのです。他の本は全て出版社のHP、或いは直接のメールで掲載の許可を
いただいたのですが、KADOKAWAでは、個人には掲載許可を出していないとのこと。
残念です。
内容はとてもいいものです。小学校低学年には難しい「こころ」という概念を、身近な事例を挙げて説明し、実際の友人関係の中でさらにそれを実感させる、という、低学年にもってこいの本です。
子どもたちの人間関係は、年齢を追うにつれて複雑になっていきますが、その基本の考え方がわかりやすくまとめてあります。
あっ!そうなんだ! 性と生
浅井春夫 安達倭稚子 北山ひと美 中野久恵 星野恵 編著 エイデル出版
この「あっ!そうなんだ!」シリーズは、3冊
で構成されていて、残りの2冊は
あっ!そうなんだ! わたしのからだ と
あっ!そうなんだ! わたしのきもち です。
いずれも幼児から小学校低学年用として、そして
性の学習入門本としてもってこいの本です。
また、保護者が子どもと一緒に読んで、大人も
一緒に学べる本でもあります。
編著に携わった皆さんは“人間と性”教育研究協
議会の皆さんですから、安心感もばっちり!
基本中の基本の本です。
最後に性とは直接関わらないけれど、
性にとってすごく大事な領域の本を一冊紹介
わたしと なかよし
ナンシー・カールソン著 瑞雲社
いつもようきであかるい「わたし」には、いつも
一緒にいてくれる友達がいるのよ。
それは「わたし」・・・。
どんな自分でも大好き・・・つまるところ自己肯定
感にあふれた本です。
吉野弘さんの詩「奈々子に」に次のような一節が
あります。
「自分を愛することをやめるとき ひとは
他人を愛することをやめ世界を見失ってしまう
自分があるとき 他人があり 世界がある」
自己肯定感は、もちろん生きていくときに大切なものですが、特に「性」にとっては、大きな影響を与える価値観であると、ミルミルは感じています。
むし歯予防より脳の発達阻害の防止(NTPレビュー)
2024年12月11日
カテゴリ:その他
「フッ素がIQに影響を与える」の記事に書きましたが、その後も新たな情報が入ってきて、いよいよ放置できない問題になったため、改めてNTPレポートとカリフォルニア州での裁判について、詳細と資料をお届けします。
忙しいとは思いますが、ぜひ最後まで読んで、お近くの仲間にどんどん情報を広げてください。
今年8月にアメリカの「国家毒性学プログラム」からフッ素に関するレビューが出ました。
「国家毒性学プログラム」は、アメリカの国家機関で、身の回りにある様々な物質の毒性を調べる、省庁間横断の組織です。従って、ここから出されたレビューは、アメリカの公式見解と言えます。
この組織が「人におけるフッ素暴露とIQ等(IQや認知機能、あるいはADHDなどの神経発達)の関係を評価するため」「世界中の多数の研究報告をまとめてシステマティック・レビュー(体系的評価)」を作成したのです。
システマティック・レビューというのは、単なる論文や個別の実験結果ではありません。世界中のフッ素とIQ等に関する論文の、まず実験方法が正確かどうかを確認し、正確だった論文をさらに結論の導き方が正しいかどうかを確認してさらにふるいにかけ・・・といった具合に何段階もの審査や査読を通って出されたものを言います。それだけ信頼性が高いのです。
対象となった子どもたちは、フッ素入りの水道水を飲んだり、妊娠中にフッ素入り水道水を飲んだ母親から生まれた子どもたちです。たくさんの論文の中から厳選された論文によると、フッ素をたくさん取り込めば取り込むほど、IQが低くなったり、発達障害が増えたのです。
例えば、母親の尿中フッ素濃度が1ppm増加すると、生まれた子どものIQが4.49ポイント下がるとし、母親が1日に摂取するフッ素量が1mg多くなると、生まれた子どものIQは3.36ポイント下がるという結果が出ています。
これらの論文は、あくまで正確にフッ素の摂取量が把握できる飲料水や尿中のフッ素量を測定していて、歯みがき剤に含まれるフッ素量は排除しています。日本のように、歯みがき剤でもフッ素、お茶や海草でもフッ素をとっている場合は、どんな影響が出るのだろうと本当に心配になります。
そもそも単体の「フッ素 F」そのものが毒性のある物質です。その化合物である有機フッ素化合物であるPFASや無機フッ素化合物であるNaF(フッ化ナトリウム)に毒性があっても当然でしょう。
さらにこのNTPレビューを裏付ける裁判の判決も出ています。
裁判はアメリカカリフォルニア州のお母さんたちが7年前に起こしたものです。カリフォルニア州では飲料水にフッ素が入れられていますが、その有害性について長年裁判が続いてきました。
その判決が、今年9月に出されました。それは・・・
「米国で現在『最適』とみなされているレベルである1リットル当たり0.7ミリグラムの水道水のフッ素化は、子どものIQを低下させる不当なリスクを生じさせる」というものであり、さらに「EPA(アメリカ環境保護庁)は規制対応に取り組まなければならないほどのリスクがある」と断定したのです。
8月に出されたNTPレビュー、その1カ月間後に出されたカリフォルニア州の判決・・・つまり、今まで水道水にフッ素を入れ、フッ素化を推進してきたアメリカが、「フッ素は脳や神経細胞の発達を阻害する」という正式な結論を出した!!ということになります。
100歩譲ってもしフッ素にむし歯予防効果がある(実際には効果はありません。データはHP「フッ素・子どもと未来」をどうぞ)としても、そのために脳や神経細胞の発達が阻害されるとしたら、どちらをとるかと聞かれれば当然
「120%脳を守るでしょ!!」
ですよね。
もう効果がどうこうとか、安全性がどうこうなどを議論している場合ではないのです。
特にフッ素は、飲料水で摂取するよりも、フッ素洗口や塗布、歯みがき剤の使用などの方が血液中のフッ素濃度を何倍にもしてしまうことがわかっていますから、アメリカの子どもたち以上の影響が出ている可能性だって完全に排除はできないのです。
さらに問題なのは、NTPレビューでは「どのくらいなら脳や神経細胞の発達に影響がないのか」という量が明示されていないことです。つまり、今のところ子どもたちの脳や神経細胞の発達を保障するには、可能な限りフッ素の摂取量を少なくする以外方法はありません。フッ素洗口をしている場合ではないのです。
みなさん、ぜひこの情報を広げてください。
教職員組合や養護教員仲間と一緒に、フッ素洗口導入阻止・中止運動を推進しましょう。
そうしないと、あなたの目の前の子どもたちの健康と未来は、守られていかないのです。
NTPレビュー 日本語に翻訳しました NTPレビュー 日本語
上記の翻訳が「難しい」という方はこちらをどうぞ NTP 解説