「からだのおしゃべり」追加しました。

2020年6月26日

最近、ドラッグストアに並ぶ空間除菌剤が気になっています。寒くなってインフルエンザが流行する時期にも、たくさんの空間除菌剤が並びますよね。
これらの空間除菌剤の説明書によれば、その成分は二酸化塩素(CLO2)で、25立方mの空間では6時間で99%の菌やウイルスを殺菌できるとのことです。
その通りだとすれば、この除菌剤を使えば、ほぼ無菌に近い空間で生活することができるということになります。果たしてそれは、私たちの健康に繋がるのでしょうか。
答えは「そうとは限らない」です。なぜなら、私たちが持っている免疫力は、身近にいるたくさんのウイルスや細菌によって形成され、かつ刺激されて強くなっていくものだからです。
実はこの空間除菌剤のCMにも「子どもが大人と同じ免疫力を持つには約15年かかる」という小児科医師会のコメントが載っています。つまり15年かけて様々な細菌やウイルスに感染しながら、免疫力がついていくことで、ある程度の病気にはかからずに、健康に過ごせるようになっていくという意味ではないのでしょうか。
細菌もウイルスもいない空間では、免疫力は強くなっていかない、ということを、このCM自体が伝えているとも言えます。CMが言いたいのは「だから子どもを守るためにウイルスや細菌を除菌してあげましょう」でしょうけれど、逆の結果を引き起こす可能性もあることになります。ちなみにこの商品の説明書には、「病気を予防することはできません」とも書かれています。
私たちはウイルスや細菌と一緒に生活し、共生しています。まさしく「with コロナ」。もちろん、病気の原因となるウイルスや細菌は、避けるにこしたことはありませんから、予防のための行動は大切です。しかし、私たちの周囲にある全てのウイルスや細菌が「排除すべきもの」なのではないのです。空気中にいるウイルスや細菌も、テーブルにくっついているウイルスや細菌も、「全部なくしてしまえばいい」と簡単に考えるべきではないと思うのです。
人間とウイルスや細菌の関係を、これを機会に見なおしてみることも必要なのかもしれません。

 京都 御寺泉涌寺 夏の庭