情報の信頼性
ほけんだよりに、小学校低学年「どれがむし歯なの?」小学校中学年「目の中には何がある?」小学校高学年「目玉おやじが生きている理由」中学校「これ、何に使ったの?」
新型コロナ情報「ティーンエイジャーに対するワクチン接種:説明と同意のプロセスが重要」をUPしました。
ようやく新型コロナウイルス感染症が落ち着きを見せています。
病気やワクチンに関して様々な情報が飛び交っています。「ワクチンにマイクロチップ」といった話は別にしても、書店にはコロナに関する本がたくさん並び、言っていることが全く違う、ということもしばしば。どれが正しいのかわからない、という状況です。
子どもたちに間違った情報を伝えるわけにもいかないし、かといって何を基準にしたらいいのかわからない、一体どうしたら・・・?という思いで、改めて情報の信頼性について科学の世界ではどうなっているかを調べてみました。
上の図は、ニューヨーク州立病院が作成した図を写したものです。
科学情報で最も信頼性が高いのは「メタアナリシス(システマティック・レビュー)」と言われるものです。複数の研究論文のデータを統計的手法で解析した結果出されるもので、「フッ素入り歯磨剤を使っていると、フッ素洗口の効果の上乗せはない」とするコクランのものがこれに該当します。
「ランダム化比較実験」というのは、2つ以上のグループにランダムに分けて検証する臨床試験。
「コホート研究」や「ケースコントロール」は、例えばたばこを吸っている人を何年か追跡し、どのくらい肺がんを発症するか調べたり、逆に肺がんの人を何人か調べて、過去にたばこを吸っていた人がどのくらいいるかを調べたりする方法です。前者がコホート研究、後者がケースコントロールです。
意外にも「専門家の意見」は、動物実験の一つ上です。もちろん、専門家の意見の中には、メタアナリシスやランダム化比較実験、コホート研究、ケースコントロールといった研究によって導かれたエビデンスを持って、提唱されているものが多いと思います。対立する意見があった時、信頼性を判断するのに大切なのは、そういった点なのかもしれません。
コロナウイルス感染症は、人間がその存在を認識してからまだ2年程度。詳しい研究もエビデンスも多くはないのです。
今月初めに「インターパーク倉持呼吸器内科クリニック」の倉持仁さんがツイッターで、「次の波が来る前に、早期に治療に介入すれば重症化を防ぎ、死亡率を下げられる、というエビデンスを作らなければなりません」とつぶやいていました。「早く治療すればひどくならない」という症例や1人の医師としての意見はお持ちなのでしょうけれど、それを「根拠」や「証拠」のある、科学的に信頼性のある「エビデンス」にすることが重要だ、ということなのでしょう。
なるほど。データや本を見る目が、今までとはちょっと変わりました。