「おなかがいたい!」のはなぜ?
1990年頃から、ミルミルの周囲の養護教員の間で話題になっていたこと。
「最近、『おなか痛いです』って、泣きながら保健室に来る中学生、増えたよね。」
小学校低学年の子どもたちは、転んだり、気持ちが悪かったりすると、よく泣きながら保健室にやってきていましたが、中学生が泣きながら・・・という現象は、それまではあまり見なかったのです。
それだけ様々な不安を抱えているのだろうか、とか、経験が足りないのかな、とか、当時はいろいろ話し合ったものです。
今、皆さんはどう感じていらっしゃいますか?
からだに異常があるときは、おとなでも不安になりますよね。ましてや子どもなら当然のことでしょう。
その不安をできるだけ小さくして、自分のからだの様子を冷静にみることができるように、かつ、周囲の誰かにちゃんとそのことを伝えることができるように、まずは腹痛についての「からだのおしゃべり」を作りました。子どもによく見られる腹痛の原因とその対処法について、日本医師会のHPを参考に、簡単にまとめてあります。
この「からだのおしゃべり」のねらいは、もちろん腹痛に繋がる原因の、小学校3年生で理解できる範囲の説明です。もう一つは、対処法です。具合の悪いときには、周囲の誰かにちゃんとSOSが出せるようにすることが重要です。そして3つめのねらいは、経験の共有です。学級の仲間の腹痛経験を聞き合うことで、「あ、わたしだけじゃないんだ」「みんな同じように病気になるんだね」という思いを持つことです。
ただし、折角の共有内容が、からかいに繋がらないように配慮をお願いします。
教材は、大腸と小腸の模型ですが、一度作ってしまうと様々な場面で使うことができます。
実際の大腸と小腸はもっと薄くできていて、腸間膜で腹腔内にぶら下がったような状況になっているのですが、それでもこんな長さのものが自分のおなかにあると思うと、ちょっと不思議な感じがしますね。
教材の作り方
教材 ① 小腸の模型
写真の小腸は、柔らかい布で作成し、中に綿を入れたものです。
長さは4メートル。子どもの小腸の長さに関するデータがないので(新生児のものしかない)、おとなの一番短い数字を使いました。直径4センチですので、9~9.5センチの横、4メートルの縦の布に縫い代をつけて裁って中表にして袋状に縫い、ひっくり返し(これが大変!)て綿を詰め、最後に返し口を手縫いして完成です。
教材② 大腸の模型
大腸は直径6センチで作りました。長さは1.5メートルです。
布を使って作るときは、小腸と同じ方法で作ります。大腸は小腸より直径が大きいので、中表に縫った後にひっくり返すのは簡単でした。
布で作るのは大変、という方は、ビニールテープを使って、長さだけを実感させるだけでも十分です。幅広のビニールテープは色もたくさんあるし、幅もあるので、腸の様子に近いものが作れると思います。
小腸と大腸の大きさ、直径は、データに幅があるので、最新の数字を確かめてお使いください。