小学校 様々な性

2020年9月13日
カテゴリ:その他

ポケット小中学校には、いろいろなアドバイスをしてくれる校医さんがいます。
小児科のお医者さん、皮膚科のお医者さん、歯科のお医者さん、そして産婦人科のおいしゃさん。
以前「性染色体の組み合わせは7種類ある」と、本で読んだことがありました。ずいぶん前のことなので、それが本当なのか、校医の産婦人科のお医者さんに改めて聞いてみました。
そしたら「組み合わせは無数にありますよ」との返事にびっくり!!
その内容をここで説明すると、それだけで数ページになってしまうので止めますが、XXとXY、XXY以外にも、たくさんの「生物学的性」の種類があるということです。
ましてや染色体以外の性別がいろいろあったとしても、なんの不思議もありません。
そして授業をする際は、それが「人権」と「差別」の問題だ、という基本を、まずしっかり捉えましょう。「からかったりいじめるのは、かわいそうだから止めましょう」的な指導では、不十分だということです。
この学習で軸としたのは、次の4つです。
1,性別にはいろいろな側面があり、様々な性の組み合わせがあるのは当然で、しかもそれは都合が悪いからといって変更できない「指向」であること。
2,どんな性別を持っていても、一人の人として尊重される「人権」を持っていること。
3,そうは言っても性別の組み合わせによっては、本人が苦しい思いをすることもあるが、さらにそれに輪をかけて苦しめるのは、周囲の「差別」であること。
4,「差別」が起きないように、どんなことを考えたり行動したりすればいいかを考える。

小学校高学年は、自分の性を改めて見つめ直す時期です。「~らしさ」にこだわると同時に、ステレオタイプのらしさに合わない人を差別する言動がみられることもあります。
その「差別」のまなざしが固定してしまわないうちに、1時間かけてじっくり考えてもらいましょう。
性別の種類は、この時間では3種類(からだ、心、恋愛)にしてありますが、実際にはもっと多くの種類に分別できます。しかし、小学校5年生での理解力や、混乱せずに考えられる内容、と考えたときには、3つが限界だと思います。「一人の人の中に、3つの性があって・・・」と言われるだけで、子どもたちは目を見開いてびっくりしていますから。
授業で使用した「ぼくにズボンをはかせるな」は、平安名祐生・恵著「Search~きみがいた」(徳間書店)から抜粋したものですが、この資料の中には、クラスの子どもたちと一緒に担任も性差別に加担する姿が描かれていて、私の授業を見ている担任の先生方へのメッセージにもなっています。

ちなみにミルミル小学校では、この授業の前に「女らしさ、男らしさ」を考える授業と「歴史の中の男女差別」という2時間の授業があり、まず「男女差別」を考えます。その延長線として、「様々な性別に対する差別」としてこの「様々な性」の授業を行っています。

 

 

教材の作り方

人のシルエットと「女」「男」のカード
裏は何も書かれていないので、最初にオレンジと緑のボールをひいたときは文字の書かれていない面を黒板に貼り、その後文字のある方に返します。
カードの色に気をつけましょう。くれぐれもピンク(赤)の紙で「女」のカードをつくったり、青い紙で「男」のカードを作ったりすることのないようにしましょう。

オレンジと緑のボールを入れた箱
中を見ないようにして、1つだけボールをひいてもらいます。
箱は同じお菓子の空き箱を3つ用意します。それぞれの箱は、蓋の部分を1つだけ残して、外側に紙を貼ります。
1つだけ残した蓋は、最初は箱の中に折り込んで見えないようにしておきますが、3種類の性別を
説明する際には下の写真のように言葉が見えるようにします。