小学校 2年2時限目「おなかの中のわたし」
私は、この授業をよく授業参観で実施していました。
保護者の中には、「性教育は性交を教える授業だ」とか「卵子や精子など、小学生に教えるのは早い」と考えている人もいるでしょう。そういった人に理解してもらうためには、実際の授業を見てもらうのが一番だろうと考えています。
そして、授業の後には、担任の先生を含めて、保護者の皆さんと話合いをします。
「思ったよりあっけらかんと明るく学習していた」「自分の命の成り立ちを知ることは、大切ですね」そんな反応がほとんどです。せっかくの保護者との話合いです。性教育とは何か、お家でできることや大人としてどう向き合うのか、などをお話ししましょう。
この授業では、「胎児がおなかの中にどんなふうに入っているか」を、子どもたちと一緒にワイワイ言い合うことがメインです。胎児は、からだが小さいうちはおなかの中でぐるぐる動いて生活していますが、からだが大きくなると頭を下にします。産まれる準備ですよね。黒板に貼ったお母さんのおなかの絵に、子どもたちに赤ちゃんの絵をはってもらいます。貼った後に、どうしてそう思ったのかも聞いてみましょう。さて、子どもたちは、どんなふうに予想するでしょうか。
私の経験では、赤ちゃんのへその緒の先が、お母さんのへそに繋がるように貼る子が最も多かったのです。なるほど、赤ちゃんのへそは、お母さんのへそに繋がっている、と考えたわけですね。
授業参観にすると、胎児の向きをみんなでワイワイやった後、正解を発表してもらう時に、保護者の方に協力していただくこともできる、という利点もあります。保護者の中に医療従事者(医師、看護師、助産師等)の方がいれば、ぜひご協力いただきましょう。もちろん、きちんと事前に了解を得ておいた上で・・・。
教材の作り方
①3ヶ月、6ヶ月、9ヶ月のお母さん(ミルミル著「保健室発『からだの学習』」 東山書房)
上の写真は、いずれもA4に印刷したものを横に2枚並べてあります。上半身と下半身ですので、印刷後、貼り合わせてお母さんの全身の絵にしてください。
また、どの絵も左下に、お母さんの洋服と同じ色の楕円形がありますが、これも切り抜いて、お母さんのおなかに貼ると、赤ちゃんが隠れるようになっています。赤ちゃんの絵の邪魔にならない部分に、マジックテープを貼っておきましょう。
②3ヶ月、6ヶ月、9ヶ月の赤ちゃん人形
3ヶ月の赤ちゃん人形
6ヶ月の赤ちゃん人形
9ヶ月の赤ちゃん人形
この赤ちゃん人形は「わくわく保健指導1年間」(住田実編著 日本書籍)に載っている型紙を使いました。布地は、肌色のネルの生地を使いました。中に入っているのはビニール袋に入れた塩で、体重に合わせて、両手や両足、胴体、頭に入れていきます。
6ヶ月、9ヶ月は、からだより頭の部分にたくさん塩が入っています。
③生まれたばかりの赤ちゃんの写真
「誕生の詩」(偕成社) P14
出産直後の赤ちゃんは、からだの表面に血液がついていたりするため、ビックリしてしまう子どもたちもいますが、この本は、全ページ白黒写真になっているので、小学校低学年の子どもたちにも安心して見せることができます。