小学校 2年3時限目「助け合って生きる」
子どもたちの家庭環境は多様です。両親と住んでいる子、一人親の子、祖父母と暮らす子、施設に暮らす子、養子縁組みした子、そして親はいるけれど虐待を受けている子・・。こういった全ての子どもに「あなたはこの世にたった一人しかいない大切な存在なのだ」ということを伝えるには、どうしたらいいのだろうか、と長年悩み、模索を続けてきました。
その方法の一つとして、この授業を提案したいと思います。
導入で使われるのは、ある保護者が書いてくれた手記です。ただし、これは「たかしさん」のお家の話で、どこのお家でも同じではないことも付け加えなければなりません。お話の中には両親が出てきますが、意外なことに両親がいない子どもたちの方が、この資料に強く共感することが多いような気がしています。
大切なのはその後です。資料で描かれている両親以外にも、多くの人が子どもたちの周囲にはいて、それぞれ子どもたちに対して愛情を持っています。血縁のある人だけではなく、教師や友達、学校内の職員や地域の人たち、施設で暮らしている子がいれば施設の人たちなど、多くの人に目を向けて考えさせてください。指導案の後に板書例を提示しておきますが、「わたし」を取り巻くたくさんの人が「みんなのことを助けてくれているんだよ」と「わたし」からたくさんの人に矢印を書き込みます。
その後、逆向きの矢印もつくことに気づかせましょう。まわりのたくさんの人が、子どもたちに支えられて生活している、つまり、人と人とは繋がって生きている、ということを伝えたいのです。どんな能力を持っていても、どんな環境に生活していても、その人を必要とする人がどこかに必ず存在する、と私は考えたのですが、いかがでしょうか。
もちろん、この授業を省略して、「命を作る仕組み」と「おなかの中のわたし」だけを実施することもできます。でも、道徳とは違った価値観で、命の尊重を伝える時間も必要だと思います。そんな思いもあって、この授業を行っています。
教材の作り方
①「あなたが小さかったとき」
②「わたし」を助ける、助けている人たち 板書例
最初は「わたし」からそれ以外の人に向けて矢印がつきます。その後「わたし」に向けてそれ以外の人から矢印がつきます。(カットは東山書房の本等から取りました)
③いろいろな家族
この絵も書籍から引用して、黒板に貼りました。
「女の子と男の子の本 1」 (ポプラ社) P35