ワークショップ 「あなたの性別は?」
先日、ミルミルの地元で「男女共同参画社会づくり」のイベントが行われました。そこで、“人間と性”教育研究協議会の会員である金子尚仁さん(産婦人科医師)のワークショップがありました。
タイトルは「あなたの性は?それ本当?~LGBTQ+男+女~」その内容の一部をお伝えします。
そもそも人間の性別は「男」と「女」の2種類なのでしょうか。
とすれば、「男」と「女」はどうやって決まるのでしょうか。
見た目?性器の状態?性染色体?本人の自覚?はてさて?
金子さんのお話によれば・・・
☆そもそも「性」の目的は?
1,遺伝子の組み換え(多様性の創造):例えばゾウリムシは「分裂」によって増えるが、約650回「分
裂」すると死んでしまう。その前に「接合」してDNAを組み替えると生き残ることができる。
2,遺伝子の修復:傷ついてしまった遺伝子を、他の生体の遺伝子を取り込むことで修復することができる。
3,自己複製:子孫を残す、個体数を増やす
なるほど。本当の目的は「1」または「2」だったということ。今までは性の目的は「3」だけだとばかり思っていたのですが、それ以外にも目的があったんですね。
さらに金子さんは・・・
☆「性」はあいまいなんです、と。
・ひとつのからだの中に、オスとメスの両方の性質(性腺)を持つ生物がいる。
・また、環境によって成長の途中で「性」が変わる生物もいる。
・つまり、自然の中では「性」は“あいまい”なんです。
そうか。人間だって「自然」の中で作られてきたものだものね。はっきり「あれとこれ!」と区切ったり断定できない部分があっても、不自然ではないという事になりますよね。
さらに金子さんは人間の「性染色体」についても話してくださいました。
☆一般には性染色体が「XY」なら男、「XX」なら女と言われていますが、
・正確に言えば、「Y」染色体の中にある「SRY」という性決定因子があれば男になる。(「SRY]は、精巣を
作るために必要な因子。)
・では、「Y」染色体または「SRY」がなかったら、どうなる?
女性?男でも女でもない?精巣も卵巣もできてしまう?あるいは両方できない?
・単に「Y」染色体があるだけでは、性別を限定することはできない。
「SRY」がマスタースイッチとして働いて、初めて精巣ができて男になることができる。
・だから、精巣と卵巣の両方ができない場合もあるし、精巣と卵巣の両方ができることもある。
☆また性染色体の組み合わせは、「XX」「XY」だけではない。
・普通は精子には「X精子」と「Y精子」がある。卵子は「X卵子」だけ。
・精子または卵子の染色体がうまく分かれず、「XY精子」や性染色体をもたない「O精子」ができたり、「XX
卵子」や「O卵子」ができることがある。そうすると「XO」や「XXY」の人が生まれる。
・また受精した後に一部の細胞の性染色体がうまく分かれず、「XO」と「XX」や、「XX」と「XXY」など、
いろんな組み合わせが生じる。
・これらの人たちの性別は? どうなる?
性染色体ひとつとっても複雑。さらに性自認や性指向、表現の性などの組み合わせも十種類以上。
だから、性染色体の組み合わせと合わせるとすごい数になり、一人ひとりが皆ちがってくる。それも自然のなせる技だとすれば、男や女以外にいろいろあっても、はっきりと分けられないのも当たり前なんですよね。「腹落ちしました!!」
金子さんは次のようにまとめてくださいました。
☆そもそも「性」は「あいまい」なのが当たり前。
・自然界でも人間の場合でも、「性」はあいまいで多様、グラデーションがある。
・私たちは物事を「白と黒」の二つに分けた方がわかりやすく安心できるが、現実にはそうでは ない。
・また、人間は「性自認」や「性指向」だけで性を定義することはできない。
☆そもそも「人は多様である」という原点に帰ろう。そのために・・・
・日常生活や教育現場の「隠れたカリキュラム」をなくそう。
・アンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)、性別役割分業を考え直そう。
・性別を意識しない対処法を身につけよう。
☆それぞれの「生きやすい生き方」を妨げず、「生きやすい生き方」ができるようにみんなが配慮することが大切。
人間だって自然の一部。「性」は多様であいまい、グラデーションがあるのが、人間の自然の姿と言えそうです。その上で、みんなが「生きやすい生き方」ができるよう、まずはミルミル小中学校にある「隠れたカリキュラム」を見直してみようかな。
う~ん、名簿は混合だけど、整列は男女別だよね。力仕事は男子で、細かな作業は女子、って分担が決まっていることもあるよ。まずはそこを見直してみようかな。先生方と相談してみようっと。