小学校 3年2時限目 「男女のちがい」
2時限目は、1時限目の「色」から、行動や服装、職業などに視野を広げていきます。まさしく「ジェンダー」に直接関わる内容です。きちんとした「ジェンダー」についての理解、というよりは、身近な例であたりまえだと考えていたものに疑問を投げかけるための授業、と考えてください。さらにこの授業での学習は、5年生での学習に繋がる基礎になるものでもあります。
「ジェンダー」に関する意識は、日本社会(だけではないのですが)に根強く残っているものの一つです。
特に明治以降、昭和初期に至るまでは「女性差別の暗黒時代」とも言われるほどで、徹底した差別に基づいた社会構造の中で、多くの女性が生き方を制限されてきました。これは、明治政府が全国に作り上げたシステムが、江戸時代の武家の考え方に基づいていたものであったことが原因だと言われています。
江戸時代の武家は、人口の1割。それ以外の人たちは、武家のシステムよりはるかに差別のない、自由な生き方が許されていました。その後、明治維新によって政権を握った武家階級が、自分たちの制度、特に家制度を日本の基本システムにしてしまったため、女性差別が一層ひどくなってしまった、と言われています。
そんな時代から、まだ100年程度。でももう、全ての差別に対する「NO!」が、世界中で突きつけられています。日本も変わらなければいけません。
また、この時間に提示する様々な実例を、一緒に授業をする担任の先生も改めて考えることで「そういえばそうよね」と、身の回りにある「ジェンダー」を見なおすことに繋がります。学校の中には、まだまだたくさんの「ジェンダー」の発想が生きています。名簿や並び方、先生方が子どもたちを呼ぶときの言い方、教材の色や模様、仕事の分担、「長」と付くポジションの男女差・・・。この授業で何かに気付いてもらえたら、この後の学級経営にも活かされるはずです。
授業の中で実例としてあげるのは・・・
・民族衣装としてのスカート(大月書店 ジェンダー・フリーの絵本①「こんなのへんかな?」 P7)
・長い髪、ズボン、料理、洗濯、などは身近な例を使用する
・職業は、前出の「こんなのへんかな?」 P32~35
などですが、子どもたちの実態から、他の例をあげてもいいでしょう。
ただし「ジェンダー」とプライベート・ゾーンに関する区別は、きちんと分けて考えられるようにしましょう。プライベート・ゾーンがさらされる可能性のある場面は、最低でも男女別が必要です。でも本来は個別、なのでしょうけれどね。