小学校低学年 みんな、脱皮している?

2022年3月8日
カテゴリ:その他

この学習は、同じ内容のほけんだより「みんな『だっぴ』している?」としてもUPしています。
みなさんの学校の状況に合わせ、使い分けてください。

言うまでもなく、「脱皮」に該当するのは私たちの皮ふです。
角質部分は皮ふの下の部分(より中心に近い部分)から新しく作られ、それが表面に押し上げられることで、常に新しい皮ふが作られていきます。表面に押し上げられた角質層は、1日6~14g程度剥離し、これがいわゆる「垢」です。
皮ふの下から表面に押し上げられるのに約2週間、乾燥して剥離するまで約2週間かかるそうですから、おおよそ4週間で私たちの皮ふは入れかわっていることになります。
この学習で注意が必要なのは「垢はきたないものだ」というイメージに繋がらないようにすることです。「不要になったもの=汚いもの」ではありませんし、表面の角質層は、からだを乾燥から守り、体内の水分保持にも大きな役割を果たしています。2週間の間、からだの表面で外気にさらされることで乾燥して剥離する、という仕組みになっているだけなのです。
指導の流れの中では、何カ所か子どもたちのイメージや思考を揺さぶるようなミルミルの発言があります。敢えて子どもの発言に「ほんとにそうなの?」的な問いかけをすることも、思考を深めるためには大切です。
小学校低学年では、総合学習の一環として、ザリガニを飼う学校もあります。ミルミルも毎年1,2年生の校外学習でザリガニ釣りに付き合いました。
餌はスルメがいいか、煮干しがいいか・・・なんて子どもたちとおしゃべりしながら、そして毎年1人くらいは、池に入ってズックをびしょぬれにする子と付き合いながら・・・。着替えはザリガニ釣りの必需品でした。
そのザリガニと同じように、自分の皮ふも日々入れかわっている、と聞いて、子どもたちは何を感じるのでしょうか。時間があったら、ぜひそのことも聞いてみたいものです。その感想に合わせて、この学習の流れは、どんどんよりよいものに変えていってください。

T:(教材①提示)みなさん、これは何でしょう。
S:ザリガニ!(多数)
S:家で飼ってるよ(「教室にいるよ」もあるかもしれません)
T:当たり!そうです、ザリガニだね。でもこのザリガニ、このあたりに(教材①で、殻のひび割れ
が指摘されている部分を指す)ひびが入っているようですよ。どうしてかな。
S:脱皮するんだよ、きっと。
S:えっ、脱皮ってなに?
S:殻が割れて、中からザリガニが出てくるんだよ。
T:よく知っているね。(教材②提示)そうなんです。脱皮と言って、ザリガニが今まで着ていた殻 
を脱いで新しい殻になるんです。皆さんも、脱皮しているよね。
S:えっ、脱皮しないよ。
S:人間は脱皮しないよ。ザリガニじゃないもの。
S:人間も脱皮するの?どうやって?
T:ザリガニはどうやって脱皮する?
S:こうやって脱皮する(身振り等を交えて)
T:なるほど。脱いだのは一番外側のからだよね。人間のからだの一番外側はどこ?
S:皮ふ
S:皮ふを脱ぐの?
T:皮ふを脱いで大丈夫?皮ふがなくならない?
S:皮ふがなくなったら困る
S:新しい皮ふができるんじゃないの?
S:そうだよ。次々と皮ふは出来ると思う。
T:新しい皮ふ?ほんとにできる?
S:できる!
T:そうか、できるのか。じゃあ、脱皮しても大丈夫だね。
S:うん

T:では今日も安心して脱皮してくださいね。こうやっている今だって、みんな脱皮してるんだよ。
 皮ふの一番表面にある部分は、外の空気といつも触れているので、とても乾くんです。乾くと落ちてくる、つまり脱皮だね。落ちてきた皮ふの下には、たくさんの皮ふが重なっていて、一番上の皮ふが落ちると、その下の新しい皮ふが表面になって、からだを守ってくれるんです。よかったね、脱皮しても問題ないね。
S:うん、よかった。
S:そうなんだ、次の皮ふがあるんだ。
T:では、皆さんに質問。さっきまでからだの表面でみんなを守ってくれた皮ふ。からからに乾いたから、ぽろっと落ちてきました。この落ちた皮ふ、汚いかな?
S:汚くない
S:乾いただけだから、汚くない
T:そうだね。汚いとは言えないね。みんなも落ちてきた皮ふを見ることが出来るよ。今日お風呂に入ってからだを石けんとタオルで洗った後、そのタオルを洗面器の中で洗ってみましょう。すると、洗面器のお湯や洗面器の縁に、何か白いものが付きます。この白いものの中には、落ちた皮膚が入っているんです。皮膚だけではないけれど、皮膚も含まれているんだよ。
S:今日やってみよう
T:こんなふうに、皮膚はみんなのからだを守りながら、毎日ぽろぽろ落ちて、さらに新しい皮膚が次々とできている。新しい皮膚を作るには、栄養が大事なんです。肉や魚、豆などのたんぱく質や野菜などに含まれるビタミンも大切なんですよ。皆さんはしっかり食べていますか?
S:大丈夫。ちゃんと食べてる
S:今日食べる
S:野菜はちょっと苦手
T:苦手な人は、少しずつでいいから、食べられるようになるといいね。

教材の作り方

教材①と②  脱皮前が① 脱皮が②です。それぞれを1枚ずつ作ってもいいですが、二つ並べて最初は②を隠して提示し、その後②を提示してもいいでしょう。

また、「もうじきだっぴするよ」とある吹き出し部分は言葉を変えましょう。例えば「ぼくはザリガニ」といったものや「脱皮」の部分だけを隠してみてもいいでしょう。

以前、この学習をしたとき、垢の模型として消しゴムの消しかすを10g程作って使用したことがあります。興味のある方は、やってみてください。さて、子どもたちの反応は・・・?