フッ素洗口でCaが減った? そんな!!
ステファン曲線のお話をしたとき(カテゴリー「子どもの歯と健康を考える会」正しく理解 ステファン曲線)、「ステファン曲線は、ステファン先生が口の中にたっぷり歯垢が溜まっている状態で、10%の砂糖水を口に含んだ後の歯垢の中のPHの変化」と説明しました。ですから、普通の食事で同じことがおきるとは限らないし、口の中全体があのPHになるわけではない、と・・・。
さらにだ液がどれだけ口の中のPH低下を阻止するかも、ショート指導の教材として皆さんに紹介しました(カテゴリー「ショート指導」むしばを防ぐ水だ液)。
今回はさらに新しい情報です。
歯垢の中で「酸」が作られ歯が溶かされたときに、それを修復するのはだ液に含まれるカルシウムなどの作用です。だからステファン曲線は、砂糖水を含んだ後に中性に戻っていくことができるのです。
しかし、もしだ液の中のカルシウムが減少してしまったらどうなるのでしょうか。
2001年の論文では、フッ素が添加されている水道水を飲んで、「歯フッ素症」を発症した若者では、口の中のカルシウムが減少していた、という結果が出ていました。
また、北海道医療大学の論文では、幼児期の33人のお子さん(少ない!)を対象に、フッ素洗口を行った子ども15人と、行わなかった子ども18人に分けて、1年間むし歯と口腔内のカルシウム量を測定したのだそうです。
結果は、フッ素洗口をした子どもたちは、3.03本のだったむし歯が、3.73本になっています。
一方フッ素洗口をしなかった子どもたちは、2.00本のむし歯が3.22本になっています。
結論としてこの論文では「フッ素洗口実施群と非実施群での「むし歯の有意差はない」となっています。
ところが、口の中のカルシウム量は、フッ素洗口実施群の方が19.3%も減少し、「有意差あり」となっているのです。このカルシウム量の違いが、結果的に「歯フッ素症」につながるのでしょうか。
むし歯予防効果がない上、だ液中のカルシウム量まで減少させてしまったのでは、フッ素洗口にどんな効果があると言えるのでしょうか。大いに疑問です。
この論文では、そもそも調査人数が少なく、むし歯を発生させる他の原因、歯みがき習慣やフッ素入りの歯みがき剤の使用状況、食生活や間食の内容などは全く調べられていないので(なぜ調べなかったのでしょうか。それも疑問です)、十分な検証とは言えない、という結論になっています。
しかし、フッ素洗口によって口腔内のカルシウム量が減少する可能性が指摘されていることは明らかです。
ますますフッ素洗口を学校で、子どもたちにさせるわけにはいかなくなりました。