フッ素洗口の効果検証結果

2024年3月24日
カテゴリ:その他

前回の投稿で、「東京、神奈川、大阪、兵庫、広島、岡山、宮城、群馬の皆さんは、フッ素洗口導入に気をつけて」とお知らせしましたが、案の定、各地から「フッ素洗口の話が出てきた!」という連絡を頂きました。
まずは、導入を阻止する活動が必要ですが、そのために心強い資料ができあがりました。

ほぼ同じ内容を、HP「フッ素・子どもと未来」のカテゴリー「何が問題なの?」に載せてありますので、そちらで読んだ方もいるかもしれませんが、一人でも多くの方に知ってもらいたいので、こちらにも書きたいと思います。

そもそもは、ある歯医者さんが作成された「2006年から2017年までの全国都道府県別DMFTの減少率比較」でした。このデータの元になったのは、A県が作成した「2006年から20017年度までの全国都道府県別DMFT」の変化を一覧にした表です。この表を作成したA県では、「フッ素のおかげでむし歯(DMFT)がこんなに少なくなりました」という根拠に使われたようです。

そこで、その歯医者さんは「単にDMFTで比べると減ったように見えるが、減少率で見たらどうなのだろう」ということで、各都道府県のDMF(むし歯の経験総数)の「減少率」を計算してくれました。

すると、たくさんの学校でフッ素洗口をしているA県のようなところが、必ずしも減少率が大きいわけではないことがわかったのです。

フッ素洗口とむし歯の減少率をはっきりさせたグラフが、次のものです。

 

縦軸は2006年から2017年までの間の、むし歯経験のある歯(DMF)の減少率、横軸は2006年と2017年のフッ素洗口経験者数の平均です。(データがきちんと残っている22都道府県のみの結果です)
フッ素洗口を実施している子どもが多ければ多いほど、「フッ素洗口でむし歯が減る」のであれば、減少率は大きくなり、横軸で右に行くほど、青色の点は上に集中するはずです。

しかし実際は・・・?
このグラフのいわば中央値を示す回帰直線(青の点線)も、「フッ素洗口でむし歯が減る」のであれば、右肩上がりになるはずなのですが・・・・?

それどころか、僅かですが右肩下がり・・・?

つまり、フッ素洗口実施率とむし歯の減少率には、相関関係が無いことになります。

ただ、このグラフでは、学校で実施されているフッ素洗口以外の要素が排除されていません。
むし歯予防教育を自治体あげて熱心に実施している県もありますし、シーラントや歯間ブラシの使用、昼の歯みがきをほとんどの学校で実施している、ということろもあります。

しかし、それでも減少率だけを比べた時点ですでに、フッ素洗口の効果は見られません。
現場からの声によると、「フッ素洗口をすると、安心して歯みがきや健康週間がおろそかになる」という現象が見られるとのこと。そういった影響も、このグラフには加味されている可能性もありますが、そうだとすると、フッ素洗口でむし歯がへるどころか、かえって逆効果、ということすら考えられます。

もう一つ、2022年のDMFと減少率を比べたグラフも紹介します。

 

どうですか?
このグラフの「洗口実施率」は、小学校のみの実施率です。全国では、中学校より小学校での実施率が高いので、小学校だけのグラフも作ってくださいました。
こちらは全国47都道府県のデータです。

やっぱり、右肩下がりになってしまっています。
回帰直線もほとんど変化がなく、相関関係はみられません。

ほぼ100%に近い子どもたちがフッ素洗口を実施している県と、全く実施していない県の減少率が同じ・・・・。
統計的には、1つ1つの点より回帰直線が優先されて考えられるのでしょうけれど、こんなグラフを見ると、なんだかがっかりしますね。

ここでは紹介しませんが、HP「フッ素・子どもと未来」には、17才のむし歯保有率のグラフも載っています。
すでに12才でほとんど相関関係が無いので、多分17才でもないだろうことは予想できると思います。
回帰直線は完全に真横、グラフの横線と平行でした。
興味のある方はHP「フッ素・子どもと未来」をのぞいてみてください。

「こんな無駄な作業に、わたしたちは事故がないよう気を張って、副作用を心配し、誤飲しないかハラハラしながら手伝わされているのか」と、養護教員の立場から考えると、無性に腹立たしくなります。

何度も言いますが、フッ素洗口はどう頑張っても教育にはなり得ません。
また「学校生活を円滑に送るために」実施される保健管理にも該当しません。
たんなる医薬品を使った医療的行為、フッ化ナトリウムという薬品の化学反応です。

フッ素洗口は、養護教員や担任の、そして学校が担うべき事ではないのです。
そのことを、みんなで訴えていきましょう。