SOS教育から性教育

2024年11月10日
カテゴリ:その他

先日友人の養護教員から「SOS教育をしたいのだけれど相談にのってほしい」と依頼されました。
「SOS教育って何?」が私の第一声。勉強不足ですみません。

で、調べてみたところ、要は「自殺防止教育」のようです。

友人の話を聞きながらいろいろ考えた末、「これは性教育になりそう」と感じました。

「国際セクシュアリティ教育ガイダンス」の「キーコンセプト5.3 コミュニケーション、拒絶、交渉のスキル」の内容を中心に授業を組んでみました。
今回は、この授業に使用したPPの一部[(実際に使用したPPの画面は58枚)を紹介します。授業のポイントと教材がみなさんのお役に立てばと思います。

対象になったのは中学生です。

タイトルは「コミュ力向上講座 初級編」としました。

中学生が自殺を考えるほどの悩みの元になるのは何だろう・・・と友人と二人で考え、「人間関係」に焦点を絞ることにしました。
学研が作成した「2023年 中学生白書」によれば、友人、親子、先生等の人間関係で「悩みがある」と回答した中学生は、全体の53.7%という結果が出ています。「学習の悩み」は35.2%、「悩みがない」と答えた中学生も39.2%いました。

人間関係の基本は、どんな相手であっても同じです。コミュニケーションを破壊するような言動や考え方は、友人間で起きたらいじめになるし、恋人間ならデートDV、夫婦間ならDV、会社などで起きればパワハラやセクハラになります。

今回は、依頼してくれた友人の希望もあって、デートDVの要素も少し組み込みました。友人曰く「デートDVの話になった途端、3年生の食いつきがすごかった」とのこと。興味あるんですね。デートDVを前面に出した内容は「中学1年生にはハードルが高い」というのが性教協山形サークルの考え方です。何より中学生の発達段階に沿った指導が大切、と考えているからです。いじめなどでも人間関係の基本は十分指導できますからね。

さて、そんなわけで何度か打ち合わせをしながら、授業内容を決めていきました。

ここで紹介できるPPは、ほんの一部ですが、内容を想像しながら見ていただければと思います。
コミュニケーションに失敗した会話の事例を提示して、登場人物の気持ちを想像して学習プリントに書き込んだり、実際のコミュニケーションを「やってみよう」の演習もいれてみました。

教材として使用した動画も紹介します。
一つはJポップユニット「わかば」の曲「あかり」です。
この曲は、「わかば」の二人が、人間関係に悩んだ末に自殺してしまったファンのために書いた曲で、SOS教育によく使用されているようです。YouTubeに動画があります。
導入では1番のみを見てもらい、そこから課題になる「人間関係の悩み」を引き出しました。
授業の終わりに全曲を見てもらい、曲の由来も紹介しています。

もう一つは身体的コミュニケーションをする際の「同意」の取り方に関する動画です。
これもYouTubeにいくつかの動画がありますが、その中から熊が主人公のものを使用しました。

書籍になっている「子どもを守る言葉『同意』って何?」(レイチェル・ブライアン著 集英社)の動画もあるのですが、微妙にニュアンスが違っているため、今回は熊さんを使用しました。

また、先生方には「国際セクシュアリティ教育ガイダンス」の「キーコンセプト5.3 コミュニケーション、拒絶、交渉のスキル」の内容を印刷して事前に配布しました。
「国際セクシュアリティ教育ガイダンス」の内容は多岐にわたっているので、日常の教科等の指導でも活かせる部分がたくさんあります。

なお、このPPを使用される場合は、「問い合わせ」欄より、ミルミルにご一報ください。

コミュ力向上講座 初級編