「学校保健」と「養護教員」が担うもの
子どもの口腔の健康は、誰が守るのでしょうか。
もちろん、子ども自身です。そして、その指導と管理をする立場にあるのは、まず保護者。
さらにそれを支援するのが、学校教育と医療機関です。
しかし、保護者と学校、医療機関が担うべき役割は、同じではありません。
学校も医療機関も、保護者と同等の立場にはなれないし、学校と医療機関は、その目的が違って
いて、それぞれに「するべきこと、してはいけないこと」があります。
大切なのは、それぞれの立場を活かして、それぞれの役割を果たし、連携することです。
連携しながら、子ども自身が自分の歯と口の健康を、生涯にわたって守る力をつけることが、
最大の目的です。
医療機関の役割と、学校の役割は大きく違っています。
医療機関で行うのは、医療行為や指導です。
学校で行うのは教育であり、医療行為は
養護教員は行うことができません。
そして医療機関は、教育のプロではあり
ません。
学校教育は、長年、歯みがき指導やおや
つ指導、食生活の指導などを行ってきま
した。
それは、一気に効果が現れるようなもの
ではなかったかもしれませんが、学校で
の教育と、社会の啓蒙活動が相まって、
むし歯や歯の健康に関する情報をたくさ
んの人が共有するようになると、まず都会からむし歯は減っていきました。
知識が行動を変えたのです。
やがて、都会から地方に、むし歯減少の波は広がっていきました。
これが、日本のむし歯減少の実態です。
2006年には1.71本だった12才の子どもの1人あたりむし歯数は、わずか12年後
の2018年には、0.82本になってしまいました。1本を下回っているのです。
学校教育、つまり保健教育が果たしてきた役割は、決して小さくはありません。
そして、それこそが学校教育の果たすべき役割です。
1日の多くの時間を子どもたちと過ごし、家庭や地域とも繋がりを持つ学校教育こそが、
果たすことのできる役割です。
しかし、フッ素洗口は教育ではありません。フッ素の薬理作用を知っていようがいまいが、
医薬品は勝手にその効果を示すものです。さらに、明確な「副作用」もあります。
学校は、医薬品を使った医療行為に限りなく近い活動に走るべきではありません。
本来学校が果たすべき活動を、全力で行うべきです。
養護教員は「教育者」としての自分の役割を放棄してはいけません。
「むし歯さえ減っていけば、手段を選ばない」と、安易に考えるべきではありません。
目先の効果だけにとらわれず、子どもたちにとって本当に必要な「生涯にわたって歯と口腔の健康
を守り育てる力」を育む・・・・それが、学校保健の果たすべき役割だと私は考えています。