がんばらなくていいよ
応援メッセージは、記事の最後に載せてあります。
3,11のスローガンに「がんばろう 東北」というのがありました。
大きな被害を受けた人たちにとっては、「頑張ってなんとか生活を再建しなければ」という思いは大切だと思います。そのエネルギーが、東北の様々な場所で地域や個人の再建につながっているのも事実です。
その一方で「こんなに我慢して頑張っているのに、もっと頑張らなくてはいけないの?」
という悲痛な声もたくさん聞きました。
「東北の人間は我慢強い」とよく言われますが、3,11の時もその我慢強さが十分発揮された一方で、弱音を吐くことができずにストレスを溜め込む人たちもたくさんいました。
特に子どもたちは、3,11から数ヶ月後になってようやく、心の中にオリのように溜まっていた不安や恐怖を吐き出せるようになり、それは友達とのトラブルや乱暴な言動、赤ちゃん返りなどといった現象となってあらわれました。
「頑張れ」と言われれば言われるほど、愚痴は言いにくくなります。周囲が頑張っているのに、自分だけが弱音を吐くことに罪悪感を感じたりもするでしょう。
せめて保健室は、養護教員は、「頑張らなくていいよ」も言ってあげられる場所、人である必要があるのではないでしょうか。
1月8日に投稿した「新着情報」に書いた子どもと養護教員の光景も、きっと不安や恐怖感を訴える子どもに向き合う養護教員の姿だったのではないかと思うのです。
「地震で怖かった」「地震なんかなくなればいい」「早くもとの生活に戻りたい」「大変な思いをしている家族が可愛そう」「勉強に集中できない」「受験が心配」「いつになったら自宅に戻れるの?」・・・etc
こういった声に「そうだよね、地震なんて来なければいいよね。賛成!」「もとの生活に先生も早く戻りたいな。同じ気持ちだよ」「何度も地震で揺れるのは怖いよね」「受験心配だよね。どうしたらいいか、一緒に考えよう」「頑張って我慢しなくていいんだよ。嫌なことがあったら、先生に教えて」
現状を考えると、状況が一気に良くなることはないのかもしれません。今年は例年に比べ圧倒的に積雪が少ないようですが、それでも北陸の積雪はこれから一層増えるだろう事を考えると、3,11の時とは条件が違うような気がしています。
その中でどんどん増えていく子どもたちの不安や恐怖、我慢を受け止める場所を、保健室と養護教員なら作ってあげることができると思うし、3,11では、保健室や養護教員がその役割を担った学校もたくさんありました。
北陸の皆さんも、きっと東北人同様我慢強い人たちの集団だと思います。でもその我慢強さに頼ることなく、思いを受け止める必要もあるでしょう。
養護教員の皆さんも、仲間と一緒に愚痴をこぼし合って、心の健康を保っていってくださいね。
応援メッセージ
被災地の養護教諭の皆さん、経験したことのない災害に養護教諭として何をしたら良いか、目の前の混乱に何から手をつけて良いか分からないと、お辛い思いをされているのではないでしょうか。退職養護教諭である私も案ずるばかりで、何もできません。子どもたちの手を握り、暖かいまなざしと優しい言葉こそ、子どもたちが元気を取り戻す力になると信じます。今まで築いてきた、子どもたちとの信頼関係があります、「先生~」と寄ってくる子どもたちを抱きしめてあげてください。養護教諭は、それができる素晴らしい仕事です。
応援しております。過労にならないように、ちゃんと眠れますようにと祈っております。
茨城県 元養護教諭 飯田 孝子